牛頸平野神社

福岡県大野城市牛頸に鎮座する平野神社は、平野神社京都市北区)を本社とする社で、地元では「牛頸神社」との愛称で親しまれている。ここには「三国志を取材した絵馬がある」という情報をかねてより得ていたが、地理的な問題もあり長年足を延ばせずにいた。

 

USHISUKEさん(@USHISUKE)さんよりお力添えいただき、ようやく昨年末に拝観できることとなった。

2019年12月28日(土)に黒崎の兀突骨さんでの忘年会後、29日(日)にまだ陽の昇らぬ早朝より、始発で鹿児島本線 黒崎駅から同線 南福岡駅まで移動。そこから車で平野神社へ向かった。ようやく周囲が明るくなり始めた7時頃に到着。

 

平野神社は、丁字路の牛頸交差点の突き当りに所在する。後述するように991年に分祀された由緒があり、大野城市の神社の中で最も古いと言われる神社。鳥居横に見える境内を大きく覆う御神木の大樟が非常に印象的だ。

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外観(一の鳥居・社号標・御神木)

 

境内には厳島社・菩薩堂・天神社・神殿・拝殿・忠魂碑・絵馬堂・奥宮などが構えており、鳥居や参道、神殿などは北東に向く。創建1000年を記念して2億3000万円の費用で総改築が行われ、1991年に落成したばかりのため、それらはいずれも外観は非常に綺麗に整備されている。

 

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二の鳥居

 

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社殿

 

さて平野神社の由緒は次の通りである。

平野宮由緒

 

祭神

本殿

 今木神 久度神

 古開神 比咩神(ひめのかみ)

奥宮

 大鷦鷯命(仁徳天皇

 

由緒

正暦二年(九九一年)京都平野神社の御分霊を筑紫の牛頸に勧請鎮祭する。大竜寺山山頂に奥宮として後に仁徳天皇を奉祀する。

本宮の平野神社延喜式名神大社二十二社の五位にして官幣大社。貞応元年(一二二二年)筑紫鎮護の祈祷料として御笠、筵田、志摩、肥前豊前社領を勅賜さる。

古代の牛頸は須恵器を伝え作った人々の邑であった。

 

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冒頭で記した絵馬は絵馬堂に見ることが出来る。絵馬堂には江戸時代~大正時代にわたり奉納された「西南戦争」「川中島の戦い」などを題材にした数々の大型絵馬が、堂内四面に渡された梁に掲げられている。その中に「三国志」を題材した絵馬が2点有する。今回はその1点を紹介したい。

 

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絵馬堂

 

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扁額

 

 

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伝「題名なし」
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この絵馬の右下には、ラミネート加工が施された解説文が掲示されていた。文中、不自然に全角スペースが用いられていたので、それもそのまま引用する。

三顧の礼

三国志』より(三顧の礼の場)

関羽 張飛を連れて 孔明 に会いに来た玄徳。孔明のいる柴門を入り内門のところで 孔明 に会いたい旨、手伝いの 堂子 に伝える 玄徳。孔明は今お昼寝中であることを童子から聞くと、関羽張飛を柴門の方に引き下がらせ、玄徳は内門のそばで 孔明の目覚めを待った。

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全角スペースが非常に歯痒い…

さてこの奉納絵馬に関して順に見ていきたい。大きさは縦1.1m、横1.6m。三国志ファンならお馴染みの「三顧の礼」の場面がモチーフとなっており、左より順に劉備関羽張飛童子諸葛亮の5人が色鮮やかに描かれる。

絵馬の右下には墨字で題字「三國志圖會内玄徳/■(而?)羽者雪■(出?)燕人張/飛風事ニ孔明ヲ訪」が記される。字は読めるものの、文章として成り立っていないため、正確に読解することができず。

また筆者の署名や落款を欠き、額の左右両辺には奉納者や奉納年月の記載がないため、奉納年や奉納者に関する詳細は未明。裏面に記されている可能性も否めないが、確認する術がなかった。

 

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題字

 

三國志圖會の内」とあるように、この絵馬は明治十六年(1883)に東京で刊行された月岡芳年の浮世絵「玄徳風雪に孔明を訪る」を模したものである。オリジナルと比較すると、全体的に線が太く、人物の表情はもちろん、髪の毛、衣服、小道具など模してはいるが、細部まで描ききれておらず、どうしても繊細さを欠いた印象を受ける。

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月岡芳年「玄徳風雪に孔明を訪る」

 

繰り返しになるが、上の浮世絵を基に描かれたであることから、この絵馬はよって明治十六年(1883)以降に描かれたと考える。

 

もう一点の絵馬は次回の記事で紹介したい。 こちらはかなり「トンデモ」な奉納絵馬でした。

 

〒816-0971

福岡県大野城市牛頸3丁目14

 

続き

『封神演義』の剪瓷雕

封神演義』ファン必見!

 

今回は4年前の記事の続きです。

横浜「関帝廟」の牌楼には様々な剪瓷雕(せんじちょう)と呼ばれる装飾が施されており、上の記事にて『三国志演義』より「関羽千里行」と、『封神演義』より4つの場面をモチーフにした装飾があると紹介した。執筆当時は封神に関する知識が皆無であったため、これらはどの場面なのか、また誰が置かれているのか判別することができなかった。

 

先日大変ありがたいことに三国志仲間の方より、考察を踏まえどの場面なのか、また誰なのかご教授いただいた。改めてお礼を申し上げます、ありがとうございました。

 

さて今回はその4つの場面について順に見ていきたい。

 

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1.黒牛(五色神牛)に騎乗することから、中央左側の槍を振る人物は武成王 黄飛虎。彼と相対する人物は三眼で麒麟(墨麒麟)に跨ることから聞仲である。赤い馬に跨る人物は両手に剣を持つ姿で表されていることから、を手にする黄天化*1であろう。黄飛虎の頭上および左右に置かれる人物は殷・周に属する兵士か?

黄飛虎と聞仲が一騎打ちする場面は作中に描かれることがないが、第31回「聞太師驅兵追襲」~32回「黃天化潼關會父」を題材にした場面だと考える。

 

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2.)中央には四不相に跨り打神鞭を揮う姜子牙が、その右上部には風火輪に乗り乾坤圏と火尖鎗を手にする哪吒。その下には三眼で槍状の武器*2を手にする楊戩の三人が置かれる。彼らと対峙する赤い馬に騎乗し、肌が青く槍で襲う人物はおそらく殷郊(兄)であろう。場面は65回「殷郊岐山受犁鋤」。殷郊は第63回「申公豹說反殷郊」より三面六臂の姿になり以降その容貌で作中登場するが、ここでは制作上の関係によるものか変形していない姿で現されている。

 

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3.中央左の赤馬に乗る女性は鄧嬋玉であろう。また先の楊戩像とこの場面に登場する白馬の人物を比較すると、容姿や馬具などが非常に類似することから二眼ではあるが楊戩だと思われる。よってこの場面は第53回「鄧九公奉敕西征」であろう。この回で楊戩とともに鄧嬋玉と相対するのは龍鬚虎であるため、中央上部の黄色い馬に跨る人物は龍鬚虎であろう。

【追記】

龍鬚虎は馬に騎乗しておらず、そもそも「人」形ではない、とご教授いただきました。そのため現段階ではこの場面と人物は誤っているかも、です。

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比較するとこんな感じ…

 

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4.全体的にヒントとなる人物の特徴や武器などないため、こちらも推測となるが、左の汗血馬に乗る人物には鬚髯がなく若々しい容姿のため黄天祥だと思われる。彼が活躍するシーンは限られており、全体像よりおそらくこの場面は第73回「青龍關飛虎折兵」であろう。よって中央の白馬の人物が青龍関を守護する大将 丘引、彼の後ろの建造物は青龍関。黄天祥と共に槍で丘引を襲う人物が鄧九公。また中央と右端に立つ人物は、丘引と共に関を護る孫宝と余生であろう。

 

 

4年前から抱いていた長年のモヤモヤとした疑問がようやく晴れたので、やっと吹っ切れることができました。横浜「関帝廟」をはじめとする寺廟や道観などの屋根には、このような剪瓷雕が施されているので、どの場面をあらわしているのか、誰が置かれているのか等々…新たな発見があるかもしれないので、注視していきたいです。

 

 

 

*1:双錘が本来の武器であるが、剣に置き換えられたものと思われる

*2:穂先が欠落しているため三尖刀だったのかは不明

2019年刊行「三国志」関連書籍目録

2019年に刊行された三国志や、三国志を題材にした書籍を発行年月日順にリスト化してみました!

毎年どのような「三国志」作品が登場するのか、定点観測をしているのですが、今年は特別展「三国志」が開催に伴い、それに便乗して様々な「三国志」関連書籍が世に送り出されてきました。もちろん内容は玉石混交していました…ムック系や、初めて聞くような出版社が多かった印象です。

どうしても追いきれずリストから漏れている恐れがありますので、その点はあらかじめご了承下さい。

 

1月

1月7日

 杜康潤『孔明のヨメ。(9)』

  レーベル:まんがタイムコミックス

  出版社:芳文社

  ISBN:978-4-8322-5738-2

  定価:619円+税/681円(込)

 

1月8日

 山口陽史『三国志武将列伝~呉の章~(1)』

  レーベル:少年チャンピオン・コミックス・エクストラ

  出版社:秋田書店

  ISBN:978-4-253-25311-6

  定価:600円+税/660円(込)

 

1月15日

 Daisy2×あず真矢『三国恋戦記~とこしえの華墨~(2)』

  レーベル:アヴァルスコミックス

  出版社:マッグガーデン 

  ISBN:978-4-800008190

  定価:630円+税/693円(込)

 

1月18日

 中國紀行CKRM編集部 編『中國紀行CKRM Vol.14』

  MOOK

  出版社:主婦の友社

  ISBN:978-4-073402336

  定価:926円+税/1,019円(込)

 

2月

2月15日

 山原義人『龍狼伝 王霸立国編(4)』

  レーベル:講談社コミックス

  出版社:講談社

  ISBN:978-4-06-514489-3

  定価:450+税/495円(込)

 

2月20日

 白井恵理子『STOP劉備君!リターンズ!!(4)』

  出版社:潮出版社

  ISBN:978-4-267-02176-3

  定価:926円+税/1,019円(込)

 

 春日みかげ『真・三国志妹(Ⅳ)俺が好きな妹は張飛だけど張飛じゃない』

  レーベル:ファンタジア文庫

  出版社:KADOKAWA

  ISBN:978-4-040729411 

  定価:670円+税/737円(込)

 

2月27日

 井上泰山『三国志の道標』

  出版社:関西大学出版部

  ISBN: 978-4-873546889

  定価:1,800円+税/1,980円(込)

 

3月

3月26日

 渡邉義浩 監修,入澤宣幸 著『学研まんが 三国志(1)黄巾の乱と桃園の誓い』

 渡邉義浩 監修,入澤宣幸 著『学研まんが 三国志(2)ふたりの英雄』

 渡邉義浩 監修,入澤宣幸 著『学研まんが 三国志(3)赤壁の激闘』

 渡邉義浩 監修,入澤宣幸 著『学研まんが 三国志(4)三国並び立つ』

 渡邉義浩 監修,入澤宣幸 著『学研まんが 三国志(5)諸葛亮の最期』

  レーベル:学研プラス

  出版社:学研

  ISBN:(1)978-4-05-204487-8

  ISBN:(2)978-4-05-204488-5

  ISBN:(3)978-4-05-204489-2

  ISBN:(4)978-4-05-204490-8

  ISBN:(5)978-4-05-204491-5

  定価:各980円+税/1,078円(込)

 

 渡邉義浩 監修,入澤宣幸 著『学研まんが 三国志(別冊)三国志ビジュアル英雄事典』

  レーベル:学研プラス

  出版社:学研

  ISBN:978-4-05-204909-5

  定価:1,300円+税/1,430円(込)

 

3月28日 斉藤洋『呉書 三国志

  出版社:講談社

  ISBN:978-4-06-221061-4

  定価:1,600円+税/1,760円(込)

 

3月29日 長尾直茂『本邦における三国志演義受容の諸相』

  出版社:勉誠出発

  ISBN:978-4-585-29179-4

  定価:12,000円+税/13,200円(込)

 

4月

4月18日

 三方行成『流れよわが涙、と孔明は言った』

 レーベル:ハヤカワ文庫JA

  出版社:早川書房

  ISBN:978-4-150313722

  定価:760円+税/836円(込)

 

4月19日

 林田慎之介『『三国志』の英雄 曹操

  レーベル:新・人と歴史37

  出版社:清水書院

  ISBN:978-4-389-44137-1

  定価:1,800円+税/1,980円(込)

 

4月20日

 白井恵理子『STOP劉備君!リターンズ!!(5)』

  出版社:潮出版社

  ISBN:978-4-267-02177-0

  定価:926円+税/1,019円(込)

 

5月21日 渡邉義浩『漢帝国-400年の興亡』

  レーベル:中公新書2542

  出版社:中央公論社

  ISBN:978-4-12-102542-5

  定価:880円+税/968円(込)

 

5月24日

 羅貫中,立間祥介 訳『三国志演義(1)』

 羅貫中,立間祥介 訳『三国志演義(2)』

  レーベル:角川ソフィア文庫

  出版社:KADOKAWA

  ISBN:(1)978-4-044005092

  ISBN:(2)978-4-044005108

  定価:各1,480円+税/1,628円(込)

 

5月25日

 『時空旅人 2019年7月号 Vol.50 三国志~物語を超える真実~』

  出版社:三栄

  ISBN:4910052650794 

  定価:778円+税/856円(込)

 

5月27日

 『ユリイカ2019年6月号 特集=「三国志」の世界』

  出版社:青土社

  ISBN:978-4-7917-0367-8

  定価:1,400円+税/1,540円(込)

 

6月

6月7日

 山口陽史『三国志武将列伝~蜀の章~(2)』

  少年チャンピオン・コミックス・エクストラ

  出版社:秋田書店

  ISBN:978-4-253-25312-3

  定価:630円+税/693円(込)

 

6月8日

 長野剛,玉神輝美 監修『武将を描く 戦国・三国志+天使』

  出版社:ホビージャパン

  ISBN:978-4-798619521

  定価:2,400円+税/2,640円(込)

 

6月10日

 渡邉義浩『人事の三国志 変革期の人脈・人材登用・立身出世』

  レーベル:朝日選書

  出版社:朝日新聞出版

  ISBN:

  定価:1,700円+税/1,870円(込)

 

6月14日

 羅貫中,立間祥介 訳『三国志演義(3)』

 羅貫中,立間祥介 訳『三国志演義(4)』

  レーベル:角川ソフィア文庫

  出版社:KADOKAWA

  ISBN:(3)978-4-044005115

  ISBN:(4)978-4-044005122

  定価:各1,480円+税/1,628円(込)

 

6月19日

 『歴史REAL 戦乱の100年がいっきにわかる!三国志の真実』

  ムック

  出版社:洋泉社

  ISBN:978-4-8003-1695-0

  定価:1,080円+税/1,188円(込)

 

6月20日

 関尾史郎『三国志の考古学 出土資料からみた三国志三国時代

  レーベル:東方選書52

  出版社:東方書店

  ISBN:978-4-497219138

  定価:2,000円+税/2,200円(込)

 

 本庄敬三国志メシ(1)』(希望コミックス)

  レーベル:希望コミック

  出版社:潮出版社

  ISBN:978-4-267-90671-8

  定価:1,000円+税/1,100円(込)

 

6月22日

 成君憶,漆嶋稔 訳『烈火三国志(上)』

 

 成君憶,漆嶋稔 訳『烈火三国志(中)』

 成君憶,漆嶋稔 訳『烈火三国志(下)』

  出版社:日本能率協会マネジメントセンター

  ISBN:(上)978-4-820731788

  ISBN:(中)978-4-820731795

  ISBN:(下)978-4-820731801

  定価:各1,600円+税/1,760円(込)

 

6月24日

 エイ出版社編集部『新説!三国志

  ムック

  出版社:エイ出版社

  ISBN:978-4-7779-5555-8

  定価:1,200円+税/1,320円(込)

 

 『今こそ知りたい三国志

  レーベル:英和ムック

  出版社:英和出版社

  ISBN:978-4-865457186

  定価:1,000円+税/1,100円(込)

 

6月25日

 東京国立博物館九州国立博物館三国志 Three Kingdoms Unveiling the Story』

  出版社:美術出版社

  ISBN:978-4568105148

  定価:2,315円+税/2,547円(込)

 

 横山光輝『カジュアルワイド 三国志(1)桃園の誓い』

  レーベル:希望コミックス

  出版社:潮出版社

  ISBN:978-4-267906817

  定価:570円+税/628円(込)

 

 渡邉義浩『別冊NHK100分de名著 集中講義 三国志 正史の英雄たち』

  出版社:NHK出版

  ISBN:978-4-14-407246-8

  定価:900円+税/990円(込)

 

6月27日

 渡邉義浩,仙石知子『三国志演義事典』

  出版社:大修館書店

  ISBN:978-4-469032154

  定価:3,600円+税/3,960円(込)

7月

7月2日

 渡邉義浩 監修『史実 三国志

  レーベル:TJ MOOK

  出版社:宝島社

  ISBN:978-4-800294913

  定価:1,100円+税/1,210円(込)

 

7月4日

 杜康潤『孔明のヨメ。(10)』

  まんがタイムコミックス

  出版社:芳文社

  ISBN:978-4-8322-5755-9

  定価:690+税

 

7月5日

 井波律子『キーワードで読む「三国志」』

  出版社:潮出版社

  ISBN:978-4-267-02188-6

  定価:787円+税/866円(込)

 

7月8日

 渡邉義浩 監修『カラー版 史実としての三国志

  レーベル:宝島社新書

  出版社:宝島社

  ISBN:978-4-800295927

  定価:1,200円+税/1,320円(込)

 

7月12日

 酒見賢一 原作,緒織たばさ『泣き虫弱虫諸葛孔明(3)』

  レーベル:ビッグコミックス

  出版社:小学館

  ISBN:978-4-098603305

  定価:591円+税/650円(込)

 

7月16日

 『Pen 2019年8/1号 【完全保存版】わかる、三国志。』

  出版社:CCCメディアハウス

  ISBN:未明

  定価:648円+税/713円(込)

 

7月18日

 三国志学会 監修『曹操-奸雄に秘められた「時代の変革者」の実像-』

  出版社:山川出版社

  ISBN:978-4-634-15153-6

  定価:1,500円+税/1,650円(込)

 

 三国志の会 編『三国志への招待』

  出版社:山川出版社

  ISBN:978-4-634-15154-3

  定価:1,600円+税/1,760円(込)

 

7月24日

  澄田夢久,渡邉義浩 監修『眠れなくなるほど面白い 図解三国志

  出版社:日本文芸社

  ISBN:978-4537217100

  定価:1,598円+税/1,758円(込)

 

7月25日

 横山光輝『カジュアルワイド 三国志(2)董卓追討軍』

  レーベル:希望コミックス

  出版社:潮出版社

  ISBN:978-4-267906824

  定価:570円+税/628円(込)

 

 

7月26日

 岡本伸也 監修,明加 画『マンガで教養 やさしい三国志

  レーベル:マンガで教養

  出版社:朝日新聞出版

  ISBN:978-4-023332850

  定価:1,200円+税/1,320円(込)

 

8月

8月1日

 山崎和広『中国『三国志』の時代から現代日本人が学ぶこと』

  出版社:文芸社

  ISBN:978-4-286-20831-2

  定価:463円+税/509円(込)

 

8月5日

 仲野えみこ『劉備徳子は静かに暮らしたい(4)』

  レーベル:花とゆめコミックス

  出版社:白泉社

  ISBN:978-4-592211440 

  定価:450円+税/495円(込)

 

8月6日

 歴史街道編集部『歴史街道2019年9月号「三国志・五大決戦――何が明暗を分けたのか」』

  出版社:PHP研究所

  ISBN:未明

  定価:630円+税/693円(込)

 

8月8日

 E☆2編集部『恋姫†夢想The Art of KOIHIME†MUSOU -CHRONICLE-(初回限定版)』

  出版社:廣済堂出版

  ISBN:978-4-331902219

  定価:5,150円+税/5,665円(込)

 

8月20日

 本庄敬三国志メシ(2)』

  希望コミック

  出版社:潮出版社

  ISBN:978-4-267-90672-5

  定価:1,000円+税/1,100円(込)

 

8月21日

 野村茂雄 監修『心が燃える 三国志の言葉』

  出版社:リベラル社

  ISBN:978-4434264603

  定価:1,000円+税/1,100円(込)

 

 箱崎みどり『愛と欲望の三国志

  レーベル:講談社現代新書

  出版社:講談社

  ISBN:978-4065171912

  定価:860円+税/946円(込)

 

8月22日

 E☆2編集部『恋姫†夢想The Art of KOIHIME†MUSOU -CHRONICLE-(通常版)』

  出版社:廣済堂出版

  ISBN:978-4-331902226

  定価:4,000円+税/4,400円(込)

 

8月24日

 横山光輝『カジュアルワイド 三国志(3)呂布貂蝉

  レーベル:希望コミックス

  出版社:潮出版社

  ISBN:978-4-267906831

  定価:570円+税/628円(込)

 

9月

9月3日

 太田出『関羽と霊異伝説―清朝期のユーラシア世界と帝国版図』

  出版社:名古屋大学出版部

  ISBN:978-4-815809614

  定価:5,400円+税/5,940円(込)

 

9月12日

 横山光輝『改訂版 横山『三国志』大百科』

  出版社:潮出版社

  ISBN:978-4-267-02209-8

  定価:1,800円+税/1,980円(込)

 

9月14日

 三国志学会『三國志研究 第十四号』

  出版社:

  ISBN:

  定価:1,818円+税/2,000円(込)

 

 三国志学会 編『狩野直禎先生追悼 三国志論集』

  出版社:汲古書院

  ISBN:978-4-762995699

  定価:8,000円+税/8,800円(込)

 

9月25日

 横山光輝『カジュアルワイド 三国志(4)徐州の謀略戦』

  レーベル:希望コミックス

  出版社:潮出版社

  ISBN:978-4-267906848

  定価:570円+税/628円(込)

 

10月

10月17日

 山原義人『龍狼伝 王霸立国編(5)』

  講談社コミックス

  出版社:講談社

  ISBN:978-4-06-517366-4

  定価:450円+税

 

10月19日

 島崎晋『ここが一番おもしろい! 三国志 謎の収集』

  出版社:青春出版社

  ISBN:978-4-413113069

  定価:1,200円+税,1,320円(込)

 

 本庄敬三国志メシ(3)』

  希望コミック

  出版社:潮出版社

  ISBN:978-4-267-90673-2

  定価:1,000円+税/1,100円(込)

 

10月25日

 横山光輝『カジュアルワイド 三国志(5)南陽の攻防戦』

  レーベル:希望コミックス

  出版社:潮出版社

  ISBN:978-4-267906855

  定価:570円+税/628円(込)
 

11月

11月8日

 狩野直禎『「三国志」の知恵』

  出版社:法蔵館

  ISBN:978-4-8318-7732-1

  定価:1,800円+税/1,980円(込)

 

11月9日

 渡邉義浩『入門 こんなに面白かった三国志

 レーベル:だいわ文庫

  出版社:大和書房

  ISBN:978-4-479307914

  定価:740円+税/814円(込)

 

11月10日

 渡邉義浩『はじめての三国志-時代の変革者・曹操から読みとく』

  レーベル:ちくまプリマー新書

  出版社:筑摩書房

  ISBN:978-4ー480683625

  定価:780円+税/858円(込)

 

11月21日

 渡辺信一郎 『中華の成立-唐代まで』

  レーベル:岩波新書1804

  出版社:岩波書店

  ISBN:987-4-00-431804-0

  定価:840円+税/924円(込)

 

11月22日

 渡邉義浩『全譯三國志 第六冊 蜀書』

  出版社:汲古書院

  ISBN:978-4-762966460

  定価:12,000円+税/13,200円(込)

 

11月25日

 横山光輝『カジュアルワイド 三国志(6)呂布の末路』

  レーベル:希望コミックス

  出版社:潮出版社

  ISBN:978-4ー267906862

  定価:570円+税/628円(込)

 

 横山光輝ロジャー・プライア 訳『バイリンガル三国志(1)桃園の誓い』

  出版社:潮出版社

  ISBN:978-4-267-02210-4

  定価:2,000円+税/2,200円(込)

 

12月

12月18日

 伊崎喬助『董白伝~魔王令嬢から始める三国志~』

  レーベル:ガガガ文庫

  出版社:小学館

  ISBN:978-4-094518252

  定価:611円+税/672円(込)

 

12月25日

 横山光輝『カジュアルワイド 三国志(7)曹操の智謀』

  レーベル:希望コミックス

  出版社:潮出版社

  ISBN:978-4-267906879

  定価:570円+税/628円(込)

【告知】三国志研究会(全国版)第42回例会で発表します

龍谷大学竹内真彦教授が主催されている「三国志研究会(全国版)」。来週1月19日(日)14時より、龍谷大学大阪梅田キャンパスにて開催される第42回例会にて「博多南地区に見える「三国志」」と題して、昨年末に調査した神社2ヵ所の「三国志」作品について、画像を交えてお話しいたします。

 

これまでは関帝に関する報告ばかりでしたが、今回は一転して『演義』に寄った内容となります。 よろしくお願いします。

新年のご挨拶

明けましておめでとうございます。謹んでみなさまに新年をお祝い申し上げます!

 

今年の干支は子年ですが、三国志でネズミと言えば誰を思い浮かべますか?

ネズミの齧り痕の話で有名な曹沖でしょうか?それとも「鼠輩」と罵られた劉備関羽孫権たち英雄でしょうか?私は「おじぎネズミ」です。(知っている人はかなりコアな三国志ファンだと思います!!)

 

2020年は曹魏建国1800周年の節目の年。昨年は様々な三国志な活動を行ってまいりましたが、本年は昨年よりも三国志を盛り上げれるような1年にしたいです。
みなさま、本年もよろしくお願いいたします!

 

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九州三国志忘年会2019(2019年12月28日)

北九州市黒崎の居酒屋「兀突骨」さんにて、毎年末に実施している三国志忘年会。2019年を締めるべく今年も開催してきました。
例のごとく今回も三国志な話題を肴に、美味しい肉料理やお酒で酒池肉林となりました。

様々な話題が文字通り書ききれないくらい次から次へと俎上に登ったため、今回はいただいた料理について触れていきたいと思います。

 

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今年リニューアルされた通りの看板。

 

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暖簾の「兀突骨」の文字に期待が高ぶります!

 

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1品目「公孫瓚イナゴの佃煮」

元々の形が分かるので見た目のインパクトが強い。味は蜂と同様にエビ。

 

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2品目「馬のアキレス腱」

普段なかなか流通しない希少な部位だそうです。見た目に反して全く脂感を感じることがなく、また筋っぽさや癖もなく、非常にあっさりとして食べやすい。

 

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3品目「ラム肉のたたき」。

ラム肉の脂とスパイシーなソースが相性抜群。

 

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4品目「ワニ肉の塩焼き(?)」

部位は腕の付け根らしいです。豚バラのような食感に、ササミのようなあっさりとした味。レモンや塩コショウで変わる表情も楽しめます!

 

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5品目「トリ刺しの盛り合わせ」

左よりレバー、砂肝(端)、砂肝、たたき。砂肝の端の部位が兀突骨の店長の清水さんのオススメ!甘めの九州の醤油で。

 

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美味しいだけでなく盛り方も非常に綺麗!!

 

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6品目「焼き牡蠣」

 

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7品目「焼き鴨ロース」

鴨の甘みがたまらない!

 

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 8品目「馬刺しと鳥刺しの盛り合わせ」

左より馬のタン、はらみ、鳥のハツ、鳥のたたき。馬のタンもアキレス腱と同様になかなか出回らない部位だそうです。タン、はらみともに非常にあっさりとしており食べやすく、そして美味しい。

 

みなさんの三国志な話題を肴に、上述した様々な料理に舌鼓をうちつつ、今年も兀突骨さんにて楽しい濃厚なひと時を一時を過ごすことができました。

来年もまた、三国志が好きな方々と兀突骨さんにて酒池肉林を楽しみたいです。

 

改めまして、今回ご一緒したみなさま本当にありがとうございました!また来年もよろしくお願いします。

 

〒806-0021

福岡県北九州市八幡西区黒崎1丁目13−7 栄町ビル103

『晉書』卷十二 天文中に関するメモ(2)

まずは「月變」について。意味は月の変化。この項は他の項目と比べ、掲載されている事象が少ないため、範囲は設けず全て列挙する。

 

月變

魏文帝黃初四年十一月,月暈北斗。占曰:「有大喪,赦天下。」七年五月,帝崩,明帝即位,大赦天下。

孝懷帝永嘉五年三月壬申丙夜,月蝕,既。丁夜又蝕,既。占曰:「月蝕盡,大人憂。」又曰:「其國貴人死。」

 

黃初四年十一月=223年11月(西暦221年12月11日~224年1月8日)

永嘉五年三月壬申丙=311年3月15日(西暦311年4月19日)

 

海西公太和四年閏月乙亥,月暈軫,復有白暈貫月北,暈斗柄三星。占曰:「王者惡之。」六年,桓溫廢帝。

安帝隆安五年三月甲子,月生齒。占曰:「月生齒,天子有賊臣,羣下自相殘。」桓玄篡逆之徵也。

義熙九年十二月辛卯朔,月猶見東方。是謂之仄匿,則侯王其肅。是時劉裕輔政,威刑自己,仄匿之應云。

十一年十一月乙未,月入輿鬼而暈。占曰:「主憂,財寶出。」一曰:「月暈,有赦。」

※太和四年の閏月は一月。

太和四年閏一月乙亥=369年閏1月24日(西暦369年2月16日)

隆安五年三月甲子=401年3月19日(西暦401年4月18日)

義熙九年十二月辛卯=413年12月1日(西暦414年1月7日)

義熙十一年十一月乙未=415年11月16日(西暦416年1月1日)

 

 

続いては「月奄犯五緯」について。

凡月蝕五星,其國皆亡。五星入月,其野有逐相。

概要を意訳すると、月が五星(水星・金星・火星・木星土星)を犯すと、それが見える国は皆滅びる。また五星が月に入ると、その分野の相が追放される。といったところだろうか。

 

こちらも例の如く光熙年間までの記述を以下に記載してみていきたい。

魏明帝太和五年十二月甲辰,月犯填星。

龍二年十月乙丑,月又犯填星。占同上。戊寅,月犯太白。占曰:「人君死,又為兵。」

景初元年七月,公孫文懿叛。

二年正月,遣宣帝討之。

三年正月,天子崩。

四年三月己巳,太白與月俱加景晝見,月犯太白。占同上。

太和五年十二月甲辰=231年12月6日(西暦232年1月16日)

龍二年十月乙丑=234年10月14日(西暦234年11月22日) 

龍二年十月戊寅=234年10月27日(西暦234年12月5日)

景初三年一月に正始へと改元。景初四年は存在せず。

景初四年三月己巳=正始二年三月己巳(?)=241年3月26日(西暦241年4月23日)

 

景初元年十月丁未,月犯熒惑。占曰:「貴人死。」二年四月,司徒韓暨薨。

齊王嘉平元年正月甲午,太白襲月。宣帝奏永寧太后廢曹爽等。

惠帝太安二年十一月庚辰,歲星入月中。占曰:「國有逐相。」十二月壬寅,太白犯月。占曰:「天下有兵。」

三年正月己卯,月犯太白,占同青龍元年。七月,左衞將軍陳眕等率眾奉帝伐成都王,六軍敗績,兵逼乘輿。後二年,帝崩。

景初元年十月丁未=237年10月13日(西暦237年10月19日) 

※正始十年四月に嘉平に改元

嘉平元年正月甲午=正始十年正月甲午=249年1月6日(西暦249年2月5日) 

太安二年十一月庚辰=303年11月10日(西暦303年12月5日) 

太安二年十二月壬寅=303年12月3日(西暦303年12月27日) 

※太安三年正月に永安と改元

永安元年正月は朔日が己亥のため「己卯」は存在せず。乙卯の誤りか。

太安三年正月己卯=永安元年正月乙卯=304年1月17日(西暦304年3月9日) 

 

『晉書』卷十二 天文中に関するメモ

前回に引き続き、今回は天文志 中の「日蝕」の項に見える三国時代に関する事象の記述を見ていきたい。天文志 下と同様に範囲は光熙年間までをとする。

 

魏文帝(曹丕)の時代

魏文帝黃初二年六月戊辰晦,日有蝕之。有司奏免太尉,詔曰:「災異之作,以譴元首,而歸過股肱,豈禹湯罪己之義乎!其令百官各虔厥職。後有天地眚,勿復劾三公。」

三年正月丙寅朔,日有蝕之。十一月庚申晦,又日有蝕之。

五年十一月戊申晦,日有蝕之。

黃初二年六月戊辰=221年6月29日(西暦221年8月5日)

黃初三年正月丙寅=222年1月1日(西暦222年1月30日)

黃初三年十一月庚申=222年11月30日(西暦223年1月19日)

黃初五年十一月戊申=224年11月29日(西暦224年12月27日)

 

明帝(曹叡)の時代

明帝太和初,太史令許芝奏,日應蝕,與太尉於靈臺祈禳。帝曰:「蓋聞人主政有不德,則天懼之以災異,所以譴告,使得自修也。故日月薄蝕,明治道有不當者。朕即位以來,既不能光明先帝聖德,而施化有不合於皇神,故上天有以寤之。宜敕政自修,有以報於神明。天之於人,猶父之於子,未有父欲責其子,而可獻盛饌以求免也。今外欲遣上公與太史令俱禳祠之,於義未聞也。羣公卿士大夫,其各勉修厥職。有可以補朕不逮者,各封上之。」

太和五年十一月戊戌晦,日有蝕之。

六年正月戊辰朔,日有蝕之。見吳曆。

青龍元年閏月庚寅朔,日有蝕之。

太和五年十一月戊戌=231年11月30日(西暦232年1月10日)

太和六年正月戊辰=232年1月1日(西暦232年2月9日)

※青龍元年において閏月は五月。原文は「五」を欠く。

青龍元年閏月庚寅=233年5月1日(西暦233年6月25日)

 

少帝(曹芳)の時代

少帝正始元年七月戊申朔,日有蝕之。

三年四月戊戌朔,日有蝕之。

四年五月丁丑朔,日有蝕之。

五年四月丙辰朔,日有蝕之。

六年四月壬子朔,日有蝕之。十月戊申朔,又日有蝕之。

八年二月庚午朔,日有蝕之。是時曹爽專政,丁謐、鄧颺等轉改法度。會有日蝕之變,詔羣臣問得失。蔣濟上疏曰:「昔大舜佐治,戒在比周。周公輔政,慎於其朋。齊侯問災,晏子對以布惠;魯君問異,臧孫答以緩役。塞變應天,乃實人事。」濟旨譬甚切,而君臣不悟,終至敗亡。

九年正月乙未朔,日有蝕之。

嘉平元年二月己未朔,日有蝕之。

正始元年七月戊申=240年7月1日(西暦240年8月5日)

正始三年四月戊戌=242年4月1日(西暦242年5月17日)

※正始四年五月の朔日は丁丑ではなく「壬戌」

正始四年五月丁丑=243年5月16日(西暦243年6月20日

正始五年四月丙辰=244年4月1日(西暦243年5月24日)

※正始六年四月の朔日は壬子ではなく「辛亥」

正始六年四月壬子=245年4月2日(西暦244年5月15日)

正始六年十月戊申=245年10月1日(西暦244年11月7日)

正始八年二月庚午=247年2月1日(西暦247年3月24日)

正始九年正月乙未=248年1月1日(西暦248年2月12日)

※正始十年四月に嘉平元年に改元

※正始十年二月の朔日は己未ではなく「戊午」

嘉平元年二月己未=正始十年二月己未=249年2月2日(西暦249年3月2日)

 

高貴鄉公(曹髦)の時代

高貴鄉公甘露四年七月戊子朔,日有蝕之。

五年正月乙酉朔,日有蝕之。京房易占曰:「日蝕乙酉,君弱臣強。司馬將兵,反征其王。」五月,有成濟之變。

甘露四年七月戊子=259年7月1日(西暦259年8月6日)

甘露五年正月乙酉=260年1月1日(西暦260年1月30日)

 

元帝(曹奐)の時代

元帝景元二年五月丁未朔,日有蝕之。

三年十一月己亥朔,日有蝕之。

 景元二年五月丁未=261年5月1日(西暦261年6月15日)

 景元三年十一月己亥=262年11月1日(西暦262年11月29日)

 

ここで曹魏が滅亡し、晉へ

 

武帝司馬炎)の時代

武帝泰始二年七月丙午晦,日有蝕之。十月丙午朔,日有蝕之。

七年十月丁丑朔,日有蝕之。

八年十月辛未朔,日有蝕之。

九年四月戊辰朔,日有蝕之。又,七月丁酉朔,日有蝕之。

十年正月乙未三月癸亥,並日有蝕之。

泰始二年七月丙午=266年7月30日(西暦266年9月16日)

泰始二年十月丙午=266年10月1日(西暦266年11月15日)

泰始七年十月丁丑=271年10月1日(西暦271年11月20日

泰始八年十月辛未=272年10月1日(西暦272年11月8日)

泰始九年四月戊辰=273年4月1日(西暦273年5月4日)

泰始九年七月丁酉=273年7月1日(西暦273年8月1日)

泰始十年正月乙未=274年1月2日(西暦274年1月26日)

泰始十年三月癸亥=274年3月1日(西暦274年4月24日)

 

咸寧元年七月甲申晦,日有蝕之。

三年正月丙子朔,日有蝕之。

四年正月庚午朔,日有蝕之。

太康四年三月辛丑朔,日有蝕之。

七年正月甲寅朔,日有蝕之。

八年正月戊申朔,日有蝕之。

九年正月壬申朔,六月庚子朔,並日有蝕之。

永熙元年四月庚申,帝崩。

咸寧元年七月甲申=275年7月30日(西暦275年9月7日)

咸寧三年正月丙子=277年1月1日(西暦277年2月20日

咸寧四年正月庚午=278年1月1日(西暦278年2月9日)

※太康四年三月の朔日は辛丑ではなく「庚子」

太康四年三月辛丑=283年3月2日(西暦283年4月15日)

太康七年正月甲寅=287年1月1日(西暦287年2月11日)

太康八年正月戊申=287年1月1日(西暦287年1月31日)

太康九年正月壬申=288年1月1日(西暦288年2月19日)

太康九年六月庚子=288年6月1日(西暦288年7月16日)

※永熙元年四月は庚寅が朔日のため庚申は存在せず。

永熙元年四月=290年4月

 

惠帝(司馬衷)の時代

惠帝元康九年十一月甲子朔,日有蝕之。十二月,廢皇太子遹為庶人,尋殺之。

永康元年正月己卯四月辛卯朔,並日有蝕之。

永寧元年閏月丙戌朔,日有蝕之。

光熙元年正月戊子朔,七月乙酉朔,並日有蝕之。十一月,惠帝崩。十二月壬午朔,又日有蝕之。

元康九年十一月甲子=299年11月1日(西暦299年12月10日)

永康元年正月己卯=300年1月17日(西暦300年2月23日)

永康元年四月辛卯=300年4月1日(西暦300年5月5日)

※永康二年四月に永寧と改元

※永寧元年(4月~12月)には閏月が存在せず、改元前の永康二年に閏三月が存在する。

永寧元年閏月丙戌=永康二年閏三月丙戌=301年閏3月1日(西暦301年4月25日)

※永興三年六月に光熙に改元

光熙元年正月戊子=永興三年正月戊子=306年1月1日(西暦306年1月31日)

光熙元年七月乙酉=306年7月1日(西暦306年7月27日)

光熙元年十二月壬午=306年12月1日(西暦307年1月20日

 

日蝕に関する記述を拾ってみたが、感覚的な所感であるが、日蝕が発生する頻度が非常に高すぎるように思う。これらの日蝕のうちどれが実際に起こり、どの日蝕が偽りなのかもし可能であれば明らかにしてみたい。

『晉書』卷十三 天文下に関するメモ(3)

前回に続いて、今回は司馬炎の咸寧年間から光熙元年九月(306年9月)までを見ていく。

武帝咸寧四年九月,太白當見不見。占曰:「是謂失舍,不有破軍,必有亡國。」是時羊祜表求伐吳,上許之。

五年十一月,兵出,太白始夕見西方。

太康元年三月,大破吳軍,孫皓面縛請罪,吳國遂亡。

※咸寧四年は278年。咸寧六年(280年)三月に呉を滅ぼし、三国を統一したことにより太康へと改元

 

太康八年三月,熒惑守心。占曰:「王者惡之。」

太熙元年四月乙酉,帝崩。

司馬炎崩御。命日が分かる例の1つです。

※太熙元年四月は朔日が庚寅のため、乙酉は存在せず。武帝・惠紀は「己酉」と作る。

太熙元年四月己酉=290年4月20日(西暦290年5月16日)

 

惠帝元康三年四月,熒惑守太微六十日。占曰:「諸侯三公謀其上,必有斬臣。」一曰:「天子亡國。」

是春太白守畢,至是百餘日。占曰:「有急令之憂。」一曰:「相死。」又為邊境不安。後賈后陷殺太子。

司馬炎崩御し、惠帝 司馬衷の年代となる。

元康三年は西暦293年

 

六年十月乙未,太白晝見。

元康六年十月乙未=296年10月14日(西暦296年11月26日)

 

九年六月,熒惑守心。占曰:「王者惡之。」

八月,熒惑入羽林。占曰:「禁兵大起。」

其後,帝見廢為太上皇,俄而三王起兵討趙王倫,倫悉遣中軍兵相距累月。

占星で司馬衷の廃位と禁軍の反乱を予見。その後に三王(司馬冏・司馬穎・司馬顒)が挙兵する。この頃より西晋の崩壊が進んでいく…

 

永康元年三月,中台星坼,太白晝見。占曰:「台星失常,三公憂。太白晝見,為不臣。」是月,賈后殺太子,趙王倫尋廢殺后,斬司空張華。

其五月,熒惑入南斗。占曰:「宰相死,兵大起。斗,又吳分野。」是時,趙王倫為相,明年,篡位,三王興師誅之。太安二年,石冰破揚州。

其八月,熒惑入箕。占曰:「人主失位,兵起。」明年,趙王倫篡位,改元

二年二月,太白出西方,逆行入東井。占曰:「國失政,大臣為亂。」是時,齊王冏起兵討趙王倫,倫滅,冏擁兵不朝,專權淫奢,明年,誅死。

永康元年は300年。翌永康二年に恵帝が復位し、永寧に改元

 

永寧元年,自正月至于閏月,五星互經天,縱橫無常。星傳曰:「日陽,君道也;星陰,臣道也。日出則星亡,臣不得專也。晝而星見午上者為經天,其占『為不臣,為更王』。」今五星悉經天,天變所未有也。石氏說曰:「辰星晝見,其國不亡則大亂。」是後,台鼎方伯,互執大權,二帝流亡,遂至六夷更王,迭據華夏,亦載籍所未有也。

其四月,歲星晝見。五月,太白晝見。占同前。七月,歲星守虛危。占曰:「木守虛危,有兵憂。虛危,齊分。」一曰:「守虛,饑;守危,徭役煩多,下屈竭。」辰星入太微,占曰「為內亂」,一曰「羣臣相殺」。太白守右掖門,占曰:「為兵,為亂,為賊。」

かなりカオスな状況に…

 

八月戊午,填星犯左執法,又犯上相,占曰「上相憂」。熒惑守昴,占曰「趙魏有災」。辰星守輿鬼,占曰「秦有災」。

九月丁未,月犯左角。占曰:「人主憂。」一曰:「左衞將軍死,天下有兵。」

永寧元年八月戊午=301年8月6日(西暦301年9月24日)

永寧元年九月丁未=301年9月25日(西暦301年11月12日)

 

二年四月癸酉,歲星晝見。占曰:「為臣強。」初,齊王冏定京都,因留輔政,遂專慠無君。是月,成都、河間檄長沙王乂討之。冏、乂交戰,攻焚宮闕,冏兵敗,夷滅。又殺其兄上軍將軍寔以下二十餘人。

太安二年,成都攻長沙,於是公私饑困,百姓力屈。

永寧二年四月癸酉=302年9月24日(西暦302年6月6日)

 

太安二年二月,太白入昴。占曰:「天下擾,兵大起。」

七月,熒惑入東井。占曰:「兵起,國亂。」是秋,太白守太微上將。占曰:「上將以兵亡。」是年冬,成都、河間攻洛陽。

八月,長沙王奉帝出距二王。

三年正月,東海王越執長沙王乂,張方又殺之。三年正月,熒惑入南斗,占同永康。

七月,左衞將軍陳眕率眾奉帝伐成都,六軍敗績,兵偪乘輿。是時,天下盜賊羣起,張昌尤盛。

 太安二年は西暦303年。なぜか「三年正月」が重複する。

 

永興元年七月庚申,太白犯角、亢,經房、心,歷尾、箕。九月,入南斗。占曰:「犯角,天下大戰;犯亢,有大兵,人君憂;入房心,為兵喪;犯尾箕,女主憂。」一曰:「天下大亂。入南斗,有兵喪。」一曰:「將軍為亂。其所犯守,又兗、豫、幽、冀、揚州之分野。」是年七月,有蕩陰之役。九月,王浚殺幽州刺史和演,攻鄴,鄴潰,於是兗豫為天下兵衝。陳敏又亂揚土。劉元海、石勒、李雄等並起微賤,跨有州郡。皇后羊氏數被幽廢。皆其應也。

※永安二年正月に永安と改元。また同年7月には元号建武と改め、さらに同年11月に永安に復元する。そして同年12月に永興と改号…。中平六年の時のように非常にせわしない年である。

永興元年七月庚申=建武元年七月庚申=304年7月25日(西暦304年9月10日)

 

二年四月丙子,太白犯狼星。占曰:「大兵起。」九月,歲星守東井。占曰:「有兵,井又秦分野。」

是年,苟晞破公師藩,張方破范陽王虓,關西諸將攻河間王顒,顒奔走,東海王迎殺之。

 永興二年四月丙子=305年4月15日(西暦305年5月24日)

 

 光熙元年四月,太白失行,自翼入尾、箕。占曰:「太白失行而北,是謂反生。不有破軍,必有屠城。」

五月,汲桑攻鄴,魏郡太守馮嵩出戰,大敗,桑遂害東燕王騰,殺萬餘人,焚燒魏時宮室皆盡。

 ※永興三年六月(306年)に光熙と改元。光熙元年四月のタイミングでは永興三年である。

 

其九月丁未,熒惑守心。占曰:「王者惡之。」

己亥,填星守房、心。占曰:「填守房,多禍喪;守心,國內亂,天下赦。」是時,司馬越專權,終以無禮破滅,內亂之應也。十一月,帝崩,懷帝即位,大赦天下。

※光熙元年9月は朔日が甲寅のため、丁未および己亥は存在せず。後者は「乙亥」の誤りか。

光熙元年九月己亥(乙亥)=306年9月22日(西暦306年11月14日)

 

司馬衷崩御し、この後ますます泥沼化し西晋が滅亡し、五胡十六国へと移行する。

 

まだまだ天文志 下は続くが、この巻はこれで一旦終わりとしたい。順番が前後したが、今度は天文志 中に見える三国時代に関する記述をピックアップしたい。

『攝津名所圖會大成』卷之六「關帝堂」翻刻

四天王寺の東側、大阪市天王寺区勝山の住宅地に大阪 関帝廟こと、黄檗宗白駒山 清寿院(通称:南京寺)が鎮座する。関帝廟ということで、本尊は例にもれず関帝像である。その左右は関平周倉が侍る。

 

清寿院の関帝像は古く、おそらく清寿院が浄土宗から黄檗宗に改宗し、中興開山した明和元年(1764)以降のタイミングで将来し、祀られたものだと思われる。清寿院の歴史を調べる上で縁起は必読である。

 

暁鐘成 著,松川半山・浦川公佐 画『攝津名所圖會大成』卷之六に清寿院の縁起は記録される。今回はそれに記される該当箇所(清寿院に関するもの)を以下に翻刻していきたい。

關帝堂

 右同所の北淸壽院あり當寺開山大成和尚唐土より將來の靈像なりとぞ

 且什寶に聖德太子御自作の十一面観觀世音あり長凡六寸五分許

 

本尊 關聖帝君

 長凡二尺餘唐作一木を以て彫刻する所なり

 例年五月十三日祭祀執行伶倫奉納の音樂あり

 

 頂下有赫大成筆

 

 無忠義心何勞景仰有丈夫氣方可瞻依 大成筆

 

 關帝堂 江元燨筆

 

 香(草冠に熱)爐中思漢鼎

 桃閑樹上想名圓 沈草亭筆

 

以下は清寿院の縁起について。句読点等は適宜補った。また片仮名表記は平仮名に改めた。

 抑 關聖帝君と號し奉るは前將軍漢壽亭侯荊州王關羽のことなり。關は姓、名は羽、字は雲長。始は壽長と號す。河東蒲州解梁又は解良とも書といへる所にて誕生あり。其始め、桃園に義を結びてより身を皇叔に委ね、義心忠情 天を貫き、雄略智謀 地を動かし、呉魏と戰ふては、敵將を殺す事 芥蔕の如く五關を屠り、七軍を溺し襄陽を抜て樊城を圍み、天下に横行して周雄艱險を避ず、其 大節江南の諸郡を収め取り、前將軍に拜せられ世に虎臣と稱す。目に呉魏を見下し、漢室を輔け興して天下を漢の一統と爲の中世なりしに、漢の運數盡極るの時なりしや、遂に呂蒙が爲に欺かれ、孫権が前に到といへども、忠節を守りて薨ず。是時後漢献帝建安二十四年巳亥十月某日にして、本朝十五代神功皇后御宇十九年巳亥に相當れり。已に臨沮に身は亡ぶといへども、神靈は四海に彌綸し、天地と共に盡る事なく、千萬年の後も神靈煌々明々とぢて、日月の如く世界を照臨し、上天子より下萬民の善悪を照察し天下國家を守護し靈應利生日々に炳然が故に、漢土にては諸州諸縣諸官所に神廟を建て恭敬し尊信すされば、明の謝肇淛が五雑爼に曰く、今天下の神廟の多き中に於て、諸萬人の皆歸依し、信仰尊信し諸願を祈りて其靈験の炳然なるは、關聖帝君の神廟に勝りたるはなし。其威靈験感應ありし事は、諸の傳記に載せ、及び諸人の耳目に見聞する所の者あきらかにして的據あり、と記せり。右の五雑爼に限らず、諸子百家の書は勿論、石點頭平妖録等の諸の小説に載て、其神験靈應を尊び稱す。夫此關聖帝君の尊號は明の英宗皇帝の勅封にして、猶又三界伏魔大帝と勅封ありし事は、皇明實記に見ゆ。又明の穆宗皇帝は關帝を何曲協天上帝と勅封し給ひ、宋の眞宗皇帝は關公を義勇武安王に封せらる。宋の徽宗皇帝は關公を崇寧眞君と勅封あり。蜀漢の昭烈皇帝は關公を荊州王に封せらる。 是の如く歴代の帝王より下萬民に至るまで、其神靈を尊仰して、或は天尊と稱し、又は關聖或は關帝、關爺々と尊み稱し、漢土四百餘州の各國諸官府・安南・琉球・女眞・朝鮮・呂宋暹羅等の諸外國までも、盡く神廟を建て祭祀尊信す。今の淸朝の天下萬民ことごとく歸依信仰し、天子も猶更尊敬し給ふが故、毎歳の二月と八月には、吉日を擇びて祭り給ふ故に、呉興の沈亮巧が通德類情に曰く、二月擇日祭関帝廟致齋一日と記す。八月も同じ。又清朝の暦五月十三日を關帝暴と記せしは、蓋此日も關帝の祭日ならん。夫神は祈るに應じ、信ずるに験ありて、私なし故に日本にて信じ祈れば、本朝に降臨し漢土外國にて祈り信ずれば、其所に出現すて天下泰平、五穀成就ならしめ、其信仰尊敬し祭る人には、富貴萬福・長命延壽・子孫繁榮・家業繁盛・諸々の災難・重病・横死を除滅さしめ種々の靈験利生あること疑ひ、更に有べからずと云々。