2016-01-01から1年間の記事一覧

永井徳鄰『通俗演義三國志』

今からおよそ150年前の明治十年(1877)から翌年(?)に刊行された永井徳鄰『通俗演義三國志』を先日入手しました。首巻+40巻の全41巻です。 全ての巻の表紙と裏表紙にデザインが施されています。中村史朗先生によると「金聖嘆批点本『三国志演義』の翻訳*…

『おしえて! ギャル子ちゃん』にて三国志ネタ

今回は小ネタ。ComicWalkerにて無料連載されている鈴木健也『おしえて! ギャル子ちゃん』にて、11/1(火)に更新・公開された第83話にて三国志と絡めたネタが。といってもたった3コマだけだが、非常に面白い設定がされていた。詳細は本編にて。http://comic-w…

『傾城三国志』入手

幸運にも先日、墨川亭雪麿 作,歌川國貞 画『傾城三国志』を二種も入手することができた。『傾城三国志』とは今からおよそ200年前の江戸時代の天保年間に刊行されたもので、湖南文山 訳『通俗三国志』をベースとして書かれた女体化・現代パロディの三国志物…

徐庶ラップ

先日実施された三国志研究会の発表に向け、データを収集していた際に、『演義』第35回「玄紱南漳逢隱淪,單福新野遇英主」にて単福(徐庶)が登場に唄っていた詞がどのように翻訳されたのか以下にまとめてみた。 天地反覆シ 火 殂セント欲ス 大廈将ニ崩レン…

黄檗宗眞福山 寳林寺

先月、寶林寺のHPとTwitterアカウントが開設されていたことを偶然知った。HPを閲覧すると本殿内部と諸像の画像が掲載されていたため、どのような像が安置されているのか、また華光菩薩像が安置されている可能性についてTwitterにて言及した。・黄檗宗眞福山…

黄檗宗少林山 達磨寺

「上毛かるた」や「縁起だるま」などで広く知られている達磨寺はJR信越本線「群馬八幡」駅を降りて南に徒歩15分ほどの位置に所在する。・黄檗宗 少林山達磨寺 || 群馬県高崎市の縁起達磨で知られる寺院 http://www.daruma.or.jp/今回は江口正尊「黄檗信仰史2…

収馬岱

前回の記事で豫劇について取り上げ、その後それはどのような演目なのか気になり「百聞は一見に如かず」ということで観ようと考え、中国の動画サイトで探していると幸運なことに字幕付きの動画が投稿されていた。大平调《收马岱》兄弟相认一折_标清 00_18_38-…

豫劇における馬岱

今回も百度で興味深い記述を見つけたので、それについて触れたい。 大平調與豫劇《收馬岱》(即《對金抓》),写黃三耀獨闖飛虎山,為女大王所擒結為夫妻,之後就是“兄弟相認”一折了。写黃三耀千里尋兄,與胞兄馬超相認的故事。他們多年未見面,姓氏又不一様…

英雄たちの伸長について【三国志平話編】

昨日の正史に続き、今回は三国志平話の伸長の記述を拾う。 平話の性質上、伸長に関して記載があるのは蜀の人物がほとんどであった。 話說一人、姓關名羽、字雲長、乃平陽蒲州解良人。生得神眉鳳目虬髯、面如紫玉、身長九尺二寸。 却說有一人、姓張名飛、字翼…

英雄たちの伸長について【正史編】

三国志や後漢書を読むと、当然ではあるが多くの人物の名前や容貌、性格、来歴など様々なことが記されている。今回は史料に記されているそんな彼らの伸長についてまとめたい。ダラダラと長ったらしく引用し続けるため、最後に掲載する図だけ見ていただければ…

武安国の血筋

演義オリジナルの人物である武安国。彼について百度で調べていると以下の興味深い記述があった。 漢末野史記載:根據漢末及三國野史的記載武安國,復姓武安名國字霸候,乃是武安君白起的後人,早年間曾跟隨北海太守孔融陣壓黃巾起義,期間曾一天連斬五位黃巾…

演義における武安国の描写を比較

演義において虎牢関で一方的に攻めて来る呂布にタイマンを張り片腕を失いながらも、呂布を陣に返し「生き残った漢の子」としてみんなに愛される武安国。彼の活躍する場面は全120回あるなかで唯一この場面しかない。俗にいうマイナーな武将である。そんな彼に…

馬岱の字を考える

馬岱の字は『陜西省扶風縣郷土志』の伯瞻とする説や、『反三国志』の仲華という説が広く知られている。今回は名に岱がつく人物の字にどのような漢字が用いられているのか、正史類などの記述がある人物らの用例を参照し、馬岱の字について考えたい。 (种)岱…

平話における馬岱について

三国志平話が成立した前に誕生したと考えられる『新刊全相平話三國志』こと通称『三国志平話』。今回はその平話に記載されている馬岱のシーンをピックアップする。なお翻訳するにあたり以下の資料を参考にした。・全相平話二種画像・テキストデータ https://…

麋芳と城とレンコンと

百度に掲載されていた麋芳が建造されたという麋城の記事を大まかに訳す。 なおソースは不明。・糜城_百度百科 http://baike.baidu.com/view/937733.htm 当陽市兩河鄉境內,距市玉陽鎮22公里,為古城遺址。相伝是三国時蜀将糜芳守江陵所筑。城墙周長1670米,…

正史における馬岱について

先日より調べている馬岱について、どのような役割が与えられ、それが変化しているのかを検証するため、まずは正史の記述を以下にピックアップする。 (章武)二年卒,時年四十七。臨沒上疏曰「臣門宗二百餘口,為孟紱所誅略盡,惟有從弟岱,當為微宗血食之繼…

東京「媽祖廟」

JR大久保駅南口より南へ5分ほど歩くと、雑居ビルが立ち並ぶ中に四階建ての極彩色の媽祖廟が現れる。鈴木洋平「結節点としての『廟』―在日台湾人コミュニティにおける東京媽祖廟の建立―」に拠ると、1970年代に日本媽祖会の結成時の人脈より伊豆に、1980年末…

馬岱の逸話

正史には伝わっていない馬岱に関するちょっとしたネタ。 野馬圪塔在縣東四十五里地、近清澗溝、溝底有石寨、山壁鑱「將軍黄巖」四字。縣志、巖即馬岱也。少孤與母避難、僑黃姓室、因名黄巖。時牧馬於此。長投馬超、復姓。 欽定四庫全書『山西通志』卷二十七 …

横浜「関帝廟」牌楼

先日3月6日(日)に関帝調査のお礼参りのために参拝した際に気が付いたこと。横浜「関帝廟」の牌楼の屋根には、細部まで丁寧に作りこまれた多彩な装飾が施されている。関帝廟ということで、関羽が活躍した場面がモチーフであると思い、何枚か撮影。『関聖帝君…

国内最古の関帝像は?

昨夜調べていてこと。 大阪「関帝廟」でお馴染みの黄檗宗白駒山 清寿院。1764年に大肩が中興開山し、早くとも明和年間(1764〜1772)に、現在も関帝内裏にて祀られている関帝・周倉・関平の三尊が置かれたのではないかと考える。また、清寿院像に関する研究…

黄檗宗惠日山 発志院

JR関西本線「郡山駅」より西に徒歩30分程度、近鉄橿原線「近鉄郡山」駅より西に20分程度歩いたところに位置する。 山門前に続く階段横には、発志院の略縁起について記載された看板が設置されていたため、その内容を以下に引用する。 黄檗宗恵日山 発志禅院 …

戯志才の血

太祖問紣「誰能代卿為我謀者?」紣言「荀攸、鍾繇」。先是,紣言策謀士,進戲志才。志才卒,又進郭嘉。【魏書巻十『荀紣伝』】 先是時,潁川戲志才,籌畫士也,太祖甚器之。早卒。太祖與荀紣書曰:「自志才亡後,莫可與計事者。汝、潁固多奇士,誰可以繼之?…

てゐ

神戸・南京町の広場は国内外の観光客や、老祥記や曹家包子館の肉まんを買い求める人々の長蛇の列などにより、日々賑わいを見せている。そんな広場の中央部には、飲食や休憩をする人たちに利用される華美に装飾された亭がある。 実はこの亭には、三国志演義の…

黄檗宗法輪山 正明寺

最寄り駅の近江鉄道「日野駅」より北東へ徒歩20〜30分程度の場所に所在する。周囲には大きな建造物が見られず、まさに田舎の真ん中にある寺院だ。 山門の前に設置されていた石板に正明寺の略縁起について紹介されていたため、以下に引用する。 黄檗宗法輪山…

はじめての…

昨年末にネットで三国志関連の情報を探していたら偶然見つけた『レジェンドヒーロー三国伝』。それについていつものように身内に向けて以下のツイートを投稿したところ、予想していた以上の反響をいただいた。三国志の英傑たちをモチーフにした韓国の特撮『…

黄檗宗大悲山 千眼寺

福岡県福岡市早良区に所在する黄檗宗大悲山千眼寺。昨年は8月2日(日)と11月22日(日)に関帝調査の一環で拝観した。二回目の訪問では、その直前まで先述したように一条さん(@ichijou5759)が主催されたイベント「三国志ファンミーティング」がももちパレスに…

黄檗宗慈現山 観音寺

三重県四日市市の小古曽に所在する黄檗宗慈現山観音寺。本寺は旧東海道のウォーキングコース上にあるようで、ウォーカーの間ではどうやら休憩ポイントになっているようだ。そういった方々が記録のために書かれたブログでは、やはりウォーキングがメインのた…

臨済宗直指山 単伝庵(落書き寺)

京阪「八幡市」より22号線沿いに東へ向かうことおよそ10分。今ではお寺に落書きができる「らくがき寺」として珍所となった単伝庵が所在する。 ここの歴史や由縁等はほとんど伝わっておらず、今から二百年前に臨済宗妙心寺派の大本山である臨済宗正法山 妙心…