『永平寺の聯と額』にみえる仏殿

永平寺について調べていると、永平寺内の聯や額を写真付きで網羅的に解説した小倉玄照『永平寺の聯と額』(誠信書房,1976年8月30日 初版、2000年6月15日第2版第4刷)を見付けた。例えば筆は誰なのか、またどのような意味があるのか等の情報が集約されていた。

さて、永平寺仏殿について確認。するとp.70より仏殿の額についての記載とともに、p.71には華光像に関する興味深い記述がされていた。以下にその箇所を引用する。

須弥壇奥向かって右側は、土地壇である。ここには、境内や伽藍を守護し、仏法を護るという竜天護法善神、招宝七郎大権修利菩薩などのいわゆる土地護伽藍神が祀られている。
土地壇上には玄透禅師筆の「護灋」の横額が掲げられている。「灋」は「法」の旧字体であるから、「護法」と同じである。

おそらく華光を指していると思われる「竜天護法善神」という表現を初めて目にしたため、非常に強い衝撃を受けた。華光像の前に置かれる金字で記された「佛勅護持護法伽藍善神王」と牌を筆者が見誤ったのか、もしくは元来このように呼ばれていたのかは一切不明である。永平寺が所蔵する像のうち名前に「竜天」が含む像は存在しないため、この2字がどこから来たのか全く推測すら立てることができない。謎である。

「土地護伽藍神像」以外にもこのような表現がされている、という珍しい例として頭の片隅に留めておきたい。