臨済宗佛光山 法水寺(2)

「北関東三国志ツアー」2箇所目。榛名神社を阿斗もとい、あとにし続いては臨済宗佛光山 法水寺へ。

 今春作成した記事で法水寺の概要について記したので今回は省略する。

 

法水寺は榛名山東麓、渋川市の山間部の広大な土地に伽藍を構えており、伊香保温泉街より車で5分程度の非常にアクセスしやすい距離に位置する。広大といっても漠然としているため具体的に例えると、JR大阪駅がすっぽりと収まってしまうほどの広い敷地を有する。

 

法水寺の敷地に一歩入ると、色彩豊かなテカテカとした巨大な布袋尊が鎮座しており参拝者を迎える。嫌でも目に飛び込んでくる。
入り口から山門まではおよそ250メートルほどの石段の参道が延びており、高低差はおよそ40メートル。これだけでも日本の寺院ではまず考えられない規模である。この石段を上るだけで汗が噴き出る。夏場だと直射日光と照り返しで尋常ではないほど汗ばむことになるだろう…

f:id:kyoudan:20190908130651j:plain

入口より見た法水寺

f:id:kyoudan:20190908130703j:plain

 

f:id:kyoudan:20190908130802j:plain

異国情緒あふれるつややかな布袋尊

 

石段を上ると法水寺の全容をようやく目にすることが出来る。山門の大きさもデカいが、伽藍もやはりデカい。

f:id:kyoudan:20190908130742j:plain

f:id:kyoudan:20190908130739j:plain

山門。やはりデカい。

 

伽藍は山門と、祇園樓、霊山楼、そして本堂で構成されているが、建物ごとに様々な施設や機能を有しており、複合施設のようになっている。祇園樓は写経堂・禅堂・歴史館が、霊山楼は山門事務所・一筆字ギャラリー、そして軽食を提供する御茶の間が、本堂は五観堂・展覧失・教室・大雄宝殿の機能を持つ。

f:id:kyoudan:20190908130711j:plain

境内の案内図

 

法水寺は観光寺になっているためか、尼僧の方が快く迎えてくださり、しかも伽藍内を饒舌な日本語で丁寧に案内してくださる。カオスなスポットとしてイメージを抱いていたが拍子抜けしてしまった。

閑話休題。先の記事でも言及したように、法水寺の「三国志」は大雄宝殿で見ることが出来る。大雄宝殿は1000人以上をも収容できるキャパを誇っており、本尊には白玉を彫って作られた像高4.8メートルの巨大な純白の釈迦牟尼仏が祀られている。寺院の規模に見合ったサイズ感である。脇侍はいない。

f:id:kyoudan:20190908130748j:plain

釈迦牟尼仏

f:id:kyoudan:20190908140417j:plain

大雄宝殿内。だだっ広い

 

大雄宝殿入口すぐには「韋駄菩薩」として韋駄天像と対に「伽藍菩薩」として関帝像が置かれる。韋駄天および関帝像については以下の解説がされている。日本語が少しおかしいのは愛嬌ということで。

韋駄菩薩(韋駄天)

 身に甲冑を着け、合掌した両腕に宝杵を持ち、或は左手で宝杵を地面につきます。中国禅宗寺院では山門や本堂にまつられています。特に食事に関することを司るとされており、日本禅宗寺院では台所や食堂によくまつられています。また、こどもの病魔を除く神ともいわれてます。

 お釈迦様涅槃の後、捷疾鬼(しょうしつき)が仏舎利から歯を盗み去ったとき、此の神(韋駄菩薩)が追いかけて、取り戻したという説があることです。そこから足の速い人を韋駄天走り」というようになった。

f:id:kyoudan:20190908130747j:plain

韋駄菩薩(韋駄天)像

 

伽藍菩薩

 昔、中国三国時代関羽武将です。

蜀漢劉備に仕え、武勇や義理に重んじたことです。また「忠義」の象徴として敬われました。神さまとしてまつられています。

 隋朝の時、ある日天台宗智者大師の説法に感銘を受け、それで大師のもとに帰依して仏法とお寺を守るように発願しました。それで智者大師は隋煬帝に奏して、関羽伽藍神に封じたという説があります

f:id:kyoudan:20190908130740j:plain伽藍菩薩(関帝)像

 

日本では伽藍神像は須弥壇上に、主に本尊の左右に達磨像と対に置かれることがほとんどである。繰り返しになるが先述したように関帝像は出入口近くに設けられた1.5メートルほどの高さの台に、韋駄天像と対に置かれている。関帝像の像高は1.3~1.4メートルほどで、韋駄天像もほぼ同様の像高であった。

関帝像は倚像ではなく立像。右手は左肩付近まで上げて髯をしごき、左手には青龍刀のような長柄の武器ではなく、指揮棒を左腰付近で握る。深緑色や金色を基調とした鮮やかに彩られた甲冑を、その上から袍に身をつつむ。

f:id:kyoudan:20190908134504j:plain

持物は房が2本付いた指揮棒。かわいらしい。

 

関帝像が安置された時期や詳細を明らかにすることができなかった。やはり落成したタイミング(2018年4月21日)の直前頃に置かれたのではないかと考える。

日本の寺社や道観で祀られている関帝像で、これまで最も若かったのが東京「媽祖廟」2階に本尊として祀られている像(2016年4月13日将来)、次いで同じく東京「媽祖廟」2階の祭壇に配される像(2013年10月13日将来)であった。法水寺像が祀られ始めたことにより、その順位が更新され、この像が日本で最も若い関帝像になったと思われる。

 

 

〒377-0102 群馬県渋川市伊香保町伊香保673-43