吉元昭治『日本伝説紀行ガイド』の関帝編(2/2)

昨日の続き。今回は黄檗宗寺院以外で祀られている関帝を祀る寺廟についてである。

・『日本伝説紀行ガイド』の関帝編(1/2) - 尚書省 三國志
http://d.hatena.ne.jp/kyoudan/20170516/1494893419

神奈川県 横浜関帝廟
 神奈川県横浜市山下町【写真270】JR石川駅下車。中華街の中山路に面して壮麗な関帝廟が二階形式に極彩色で建っている。最初の社殿は明治六年(一八七三)横浜在住の華僑により建てられた。しかし関東大震災で倒壊、再興したものの、また戦災で焼失、第三代も昭和六十一年(一九八六)に不審火でまた焼失した。そのため一時、近くの横浜中華学院の校庭を間借りしていたが、平成二年(一九九〇)に新築され、中華街の名所になった。
 中央に関帝がやはり関平周倉とともにあり、向かって右に観音菩薩、福徳正神(土地公)、左に地母娘娘が祀られている。


〒231-0023
神奈川県横浜市山下町140

北海道 函館中華会館
 北海道函館市大町。現在にのこる中華会館は日本で唯一の中華風煉瓦建築である。東坂を港の方面からのぼった左側にある。【写真272-1】
 明治四十三年(一九一〇)に建てられたものであり、それ以前から貿易にやって来た中国人のコミュニティとして多くの人々の努力で完成した。だからここは、以前は集会所でもあり倶楽部でもあったわけである。【写真272-2】中に入るとそこは完全に中国。華麗な内部装飾が目をうばう。壁に『関聖帝君覚世経』とおう勧善書のイチブガはってある。もっとも、この中華会館は十一月上旬から四月下旬まで休館しているので注意が必要だ。


〒040-0052
北海道函館市大町1−12

現在は老朽化により一般公開が中止され、中華会館を管理者や関係者のみしか立ち入ることが制限されている。2010年には中華会館創設100周年を記念し、期間限定で内部が公開された。それ以後は閉館した状態が続く。また渡邉義浩先生によると関帝壇にある牌の後ろに関帝像が安置されているという。現地の華僑の方のみしか像を拝観することができないそうだ。

京都市 霊芝山大興寺(芝薬師)
 京都市左京区浄土真如町。真如堂に近い。現在は古い本堂を壊し再建中。ここに足利尊氏が招来したという元代の関帝像があり、左右に関平周倉を従えている。【写真273】


〒606-8414
京都府京都市左京区浄土寺真如町17

大興寺の寺伝関帝像は、作者、年代ともに不詳であるが「関帝」「南宋武幹謹書」と刻まれる扁額と、「足利尊氏が元より取り寄せた」という伝承を根拠に、元代の像とされている。足利尊氏が戦場に持ち運ぶためにこの像は厨子の中に入れられ安置されている。脇侍は関平周倉ではなく関平関興。真偽は明らかになっていないが、もしこれが関帝像であれば国内で最も古く、かつ世界的にも大変重要な像である。

那覇市 至聖廟孔子廟)内関帝廟
 孔子廟大成殿の正面左側にある二つの廟のうち左の天尊廟内に関帝廟があり関羽が赤い顔をして納められている。


〒900-0033
沖縄県那覇市久米2-30-1