「菊慈童」公演(2017年8月19日)

2017年7月〜2018年1月までの期間、大阪市中央区に所在する山本能楽堂にて「初心者のための上方伝統芸能ナイト」が毎月1〜2回開催される。
このイベントは2006年に山本能楽堂大阪商工会議所の共同企画として始まり、大阪独自の伝統芸能である能楽狂言文楽上方舞・落語・講談・浪曲・お座敷あそび等の中から3つ以上のジャンルのハイライトが上演する。伝統芸能初心者の方を主に対象とした内容となっている。今年は月ごとに漢字1文字のテーマを設けて、それが作中に入った公演が続く予定となっているそうだ。

山本能楽堂公式ホームページ
http://www.noh-theater.com/nfblog/?p=500

さて上記サイトに拠ると、8月19日(土)に「菊」をテーマに浪曲春野恵子「お菊と播磨」・落語:桂ちょうば皿屋敷」・能:山本章弘ほか「菊慈童」が上演される。
このうち「菊慈童」が三国魏の時代を舞台にした演目となっている。

物語の詳細や見所などが能楽事典に紹介されているため、そちらを参照されたい。この演目の概要については以下に引用をする。

・菊慈童 | 銕仙会 能楽事典
http://www.tessen.org/dictionary/explain/kikujidou

概要

中国 魏の文帝の時代。西の奥地・酈縣山の麓から薬の水が湧き出たとの報せを受けた帝は、勅使(ワキ・ワキツレ)を派遣する。勅使が山中に至ると、そこには一軒の庵があり、中に一人の童子(シテ)が住んでいた。人里遠く離れた深山幽谷に住むこの童子を見て勅使が訝いぶかしむと、童子は、周の穆王に仕えていた「慈童」という名の童子だと名乗る。穆王といえば七百年も昔の人。驚く勅使に、慈童は証拠として、王から賜った枕を見せる。枕には、法華経の妙文が書き添えられていた。この妙文を菊の葉に書き写したところ、滴る雫が不老不死の霊薬と変じたのであった。慈童は、この薬の酒を讃美し、帝の長寿を言祝で舞い戯れると、ほろ酔い気分で仙家へと帰ってゆくのだった。

登場人物を見ると、魏の文帝こと曹丕は口頭でのみ登場となっていると思われる。詳しいことは分からないため憶測になるが、朱建平の予言によって寿命に関して過敏になっている曹丕が、それから解放されるために霊薬を求める、と考えるとなかなか興味深く感じる。

開場が17時30分開場、18時開演。料金は正面席が4500円、ワキ・2階席が3000円となっている。


〒540-0025
大阪府大阪市中央区徳井町1丁目3−6


【追記:2017年12月21日(木)】
能に関する様々な情報を掲載するポータルサイト「the能ドットコム」にて、以下のツイートにもあるように枕慈童(菊慈童)の演目事典の項に、この演目のストーリーの現代語訳、あらすじ、みどころなどをまとめたPDF(478KB)が公開された。今回は以下にリンクのみを挙げておきたい。

・能・演目事典:枕慈童:あらすじ・みどころ
http://www.the-noh.com/jp/plays/data/program_085.html