「俺と劉備様と関羽兄貴と」観劇(2017年4月1日)

幸福の科学が母体の芸能プロダクション「ニュースタープロダクション」。その芸能プロが、幸福の科学や活動等をより知ってもらうために今回旗揚げされたのが劇団新星である。座長は幸福の科学創設者の大川隆法氏の長男・大川宏洋が務める。

以前紹介したように劇団新星旗揚げ公演「俺と劉備様と関羽兄貴と」が3月25日(土)より公演が始まった。

・俺と劉備様と関羽兄貴と 公式サイト
http://gekidan-shinsei.jp/

・「俺と劉備様と関羽兄貴と」公演(2017年3月25日〜4月2日) - 尚書省 三國志
http://d.hatena.ne.jp/kyoudan/20170217/1487263185

今回の旗揚げ公演も含めて、いろいろと興味が惹かれたため、4月1日(土)19時〜の部を観劇しにHSU未来創造・東京キャンパスへ足を延ばした。前売り券だけでなく、当日券も受付開始とほぼ同時に完売するほど、かなり多くの方(熱心に信仰をされている方々)が注目されているようであった。座席分のチケットが完売ということで、急遽客席最後列の後部に立ち見席が、そして劇場外のラウンジで公演の様子をプロジェクターで鑑賞するモニター席が設けられるほどでだった。今回は非常に不幸なことに前売り券だけでなく、当日券も入手が叶わなかったため、立ち見席への案内となった。
劇場は中央の通路の左右に10列×10席の計200席が設置されており、広さは中規模程度。開演直前ギリギリのタイミングで、当日来れなくなった方の空席へ案内していただけることとなり、無事に舞台に向かって左端の席(画像の赤い箇所)に座って観劇することとなった。

舞台は2階構造となっており、1階部の高さが2mほど、奥行が5m程度だが、舞台装置の関係で実質2〜3m程度しかなかった。2階部は中央に巨大なスクリーンがあり、広さの都合で武器が振り回せないため、武器を用いた演出が必要になった場合に別撮りされた戦闘シーンが映し出されるようになっていた。

本公演のあらすじとキャストは以下の通りである。

西暦184年、中国。
高祖・劉邦が建国した漢帝国はすでに弱体化し、政治は腐敗の一途をたどるばかり。各地で暴れる黄巾賊や群雄の極地支配により、中国全土は戦火に包まれていた。そんな中、皇室の血を引く劉備玄徳の前に義兄弟の絆を誓う男たちが現れる。

天下無双の猛将・張飛翼徳と知勇兼備の豪傑・関羽雲長。劉備たちは不惜身命の心意気で「神の願う理想の国づくり*1」を実現すべく、最強の敵・曹操へと挑んでいくのであった。


張飛:大川 宏洋
劉備:長谷川 奈央
関羽:梅崎 快人

諸葛亮孔明:岸部 哲郎

夏侯惇:伊良子 未來
趙雲/幼少時の劉備:橘 百花
劉備の母:谷沢 瑠菜

居酒屋の女将/遊女/巫女:松田 わかな
村人/踊り子/遊女/巫女/曹操軍兵士:谷沢 瑠菜・中本 永遠・谷森 智美

劉備軍兵士/村人:高峰 健輔
黄巾賊/劉備軍兵士/伝令:若松 大智
黄巾賊/曹操軍兵士:鉢嶺 光
黄巾賊/曹操軍兵士/間者:曽根 颯太
曹操軍兵士:河合 遥輝

曹操:黒田 アーサー


さて昨日4月2日(日)19時に千秋楽を迎えたため、ネタバレ要素も含めて以下に本公演の流れを簡単に記す。

182年
とある村で劉備母が劉備に剣術を指導する。劉備は嫌になり逃げ出す。
黄巾党討伐で命からがら逃げてきた曹操劉備母が介抱するも、「礼」として曹操が彼女を殺める(まるで呂伯奢)。曹操が去った後、劉備が戻り、母親の亡骸を発見、そして誰もが幸せになれる国(神の理想とする国)*2を造ることを決意する。

10年後。
黄巾党の襲撃より村と人々を守る張飛張飛の前に関羽が現れ、根本的な問題を解決しなければならないと指摘するも、張飛がキレて関羽と揉める。そこへ劉備がケンカを止めに入り、義兄弟の契りを結ぶ。

入浴中の劉備張飛が覗き、張飛劉備の秘密を知り、加えて一目惚れする。

劉備三兄弟は次々と黄巾党を討ち破ってっていく最中、曹操とエンカウント。そこで曹操劉備がが自身が目指す国について論ずるも、それが対照的であったため、曹操劉備は対峙する。曹操関羽を口説くも失敗に終わる。

曹操軍が劉備が治める地へ猛攻をかけ(長坂の戦い)、関羽を生け捕り配下に置く(張遼義説関羽)。曹操の攻撃より生き延びた張飛劉備趙雲の3人は曹操を倒すべく軍師を迎えるため草盧を訪ねる(三顧の礼)。諸葛亮がかつて一目惚れをしふられた曹操に仕返しをすべく劉備軍に加入する。

今度は巨大水軍を率いる曹操80万人と対峙することとなった劉備軍。動乱の中で曹操軍に身を置いていた関羽劉備等とが出会い、関羽曹操軍を脱する。その際、劉備関羽にベタベタするのを張飛が妬む。

諸葛亮の祈祷により東南の風が吹き、張飛が火を放つ(赤壁の戦い)。燃える戦艦を棄て逃げる曹操関羽が出会うも、関羽曹操を見逃す(華陽道)。
諸葛亮曹操を討ち損じた関羽と、その責任を感じる劉備に執行猶予付きで死刑宣告をする。

直後、曹操が100万の軍勢を率いて樊城に向かって南下する。関羽が主導で曹操を呼び寄せ樊城を取らせようとする。
関羽がは曹操劉備を討つべく自分が討たれたという誤報を流し、怒り狂った劉備を討とうと計画を立てる。

関羽曹操と内通していると張飛が察知し、漢中守備の任を放棄し樊城へ向かう。劉備関羽の仇を取るため単騎で樊城へ乗り込むも、そこで関羽の裏切り知る。関羽劉備を殺そうとした刹那、張飛に阻止される。張飛関羽を討つも、関羽より致命傷を負い倒れる。

劉備が慟哭する中、曹操が登場。劉備を討とうとするも、張飛等によって阻止される。そして生け捕られる。
関羽の裏切りと張飛関羽の死は曹操を誘き寄せるための演技だとネタばらし。

諸葛亮による天下三分の計の解説。「1.兵を用いて争うのは禁止。2.曹操は北方の地(魏)を、劉備巴蜀の地(蜀漢)を、東呉の地(呉)は孫権がそれぞれ分担して治める。3.もし国同士のトラブルが起これば君主が話し合い和を持って解決を図る(恋戦記的な展開に)」そのため曹操の力が必要であるがゆえ、曹操を力説して承諾を得、解放させる。

こうして劉備はみんなが幸せになれる国を造りました。めでたし、めでたし。



感想。
脚本は非常に面白く書かれており、三国志ファンも楽しめる作品であった。例えば関羽劉備を裏切り曹操と内通するのはまず思い付かないだろう。『覇』の劉備が物語すら始まっていない冒頭で殺されてしまったような衝撃を受けた。また劉備が最初から蜀の地を治めていたり、曹操が幽州から涼州まで治めていたりと細かいことが簡略化されており、三国志を知らない方でも理解しやすい内容になっていた。そして黄巾党や劉備母以外は誰も死なない!関羽張飛曹操も死なない平和な内容だった。そして三国志平話や雑劇を連想させるような、感情で動く張飛。旗揚げ公演なのにとんでもない後ろ楯があるため衣装のクオリティーが高く、小道具も造形が凝っていた。三国志受容史面から見ると、関羽曹操人形劇三国志から影響を受けていたように見えた。まだまだスゴいところを揚げるときりがないため、ここまでにしたいが「この三国志、想定外。」と謳っていただけのことがあり、本当に想定外のことばかりであった。

ただ簡略化し過ぎるがゆえに、呉の人物が登場しなかったり、様々な戦や出来事が1つにまとめられてしまったりと、世界観が超コンパクトになってしまっていたので、物語の奥行もその分小さくなっていた。また劇団ZTONによる関西最速の殺陣や、新潮劇院の京劇を観ていたこともあり今回の殺陣は舞台の狭さや舞台装置の関係上、長物や剣を振り回すことには向いておらず、また個々のスキルもほぼ皆無に近い状態であった。そのためか、多くても2〜3回しか打ち合わないので迫力や勢いが全然なく、10年以上前に公演された「長江の流れは緩やかに見えて」までの技術に至っておらず、まるで高校の学祭のようにも見えてしまった。

産声を上げたばかりのまさに「新星」のため、今は多くの課題しかないだろう。それゆえに延びしろしかないのが強みである。今後どのようなスキルが磨かれて、舞台人として成長していくか、またどのような作品が制作されていくか非常に楽しみである。


物販で販売されていたブロマイド。上段左より順に劉備関羽、下段左より趙雲張飛夏侯惇の計8種類。曹操や個性的な諸葛亮がなかったのは残念である。
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「本公演は数多くのご好評をいただきDVD化も企画検討しております」ということで、発売されたら是非とも購入させていただきたいです。


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SDガンダム SD三国伝 Brave Battle Warriors 019 真 雷装 張飛(ライソウ チョウヒ)ガンダム

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*1:まるで『覇』の呉軍のよう

*2:これがこの作品のテーマである