埼玉県山西省友好記念館(神怡館)廃止へ(2018年3月31日)

備忘録として。

中国の文化や歴史等に触れることができる日本で数少ない専門施設の1つ埼玉県山西省友好記念館 神怡館(埼玉県秩父郡小鹿野町)。ネットショップ「英傑群像」のグッズが販売されていたり、その繋がりで三国志祭にブース出展されたり、関羽像等の三国志関連の展示物が並んでいたりと、三国志ファンにとどまらず、コスプレイヤー界隈でも知名度が高い施設である。個人的には関帝像があり、かつ華光が菩薩ではなく「大帝」として置かれていることに興味とついつい魅力を感じてしまう。

1992年5月に埼玉県と山西省の友好締結10周年を記念し開館した。開館して25年の節目を迎えたが、残念ながら2018年3月末(2017年度末)に「廃止」されるようである。廃止ということで完全に閉館するかは現段階では未明である。
さて、今回は2017年12月27日(火)までに出た情報を以下に整理したい。リンクばかりでかなり見にくくなってしまった…

・埼玉県山西省友好記念館 神怡舘(しんいかん)
http://shenyi.jp/

平成29年12月4日提出分の議案第97号「埼玉県山西省友好記念館条例を廃止する条例」が埼玉県議会 平成29年12月定例会にて原案可決となった、とUSHISUKEさん(@USHISUKE)よりご教示いただいた。本当にありがとうございます。

埼玉県財政課が公開している文書も確認すると、その案は以下の通りであった。

・平成29年12月定例会 議案一覧 - 埼玉県議会
http://www.pref.saitama.lg.jp/e1601/gikai-gaiyou/h2912-2.html

第九十七号議案
  埼玉県山西省有効記念館条例を廃止する条例
 埼玉県山西省有効記念条例(平成四年埼玉県条例第十八号)は廃止する。

  附則
 この条例は、平成三十年四月一日から施行する。

平成二十九年十二月四日提出
 埼玉県知事 上田清司

  提案理由
 埼玉県山西省友好記念館を廃止したいので、この案を提出するものである。

条例案(PDF:1184KB)
http://www.pref.saitama.lg.jp/a0103/documents/jyorei2912.pdf

ここで挙げられている「平成四年埼玉県条例第十八号」は記念館の設置とその運営面のルールに関する事である。特筆すべきことが記されていないため、リンクのみを揚げておく。もしその内容に興味をお持ちの方はこちらを参照されたい。

・埼玉県山西省友好記念館条例|埼玉県法規集
http://www3.e-reikinet.jp/saitama-pref/d1w_reiki/40490101001800000000/40490101001800000000/40490101001800000000.html

廃止理由についてはここでは全く言及されていないが、2017年11月28日(火)の埼玉新聞の記事に拠ると、1.来館者数の減少、2.交通面の不便さ、3.施設の老朽化が、また知事記者会見では1.埼玉県民にとって強いニーズがない、2.維持運営する事自体が県費の無駄遣い、3.山西省との友好関係の役目を果たした、ことがその理由に挙げられている。やはり管理コストが大きな要因のようである。
また会見では、上田知事は廃止後について神怡館を解体する可能性もあるとする一方で、民間運営による存続という方向性も発言されている。
柳下礼子 埼玉県議はブログにて「地域振興における観光拠点にもなっている」「小鹿野町から町長、議長連名で条例廃止の要望書が知事宛てに提出された」と述べられている。この可決がもしかしたら覆る…かもしれないが、最終的には民間経営で落ち着きそうである。

コスプレイヤーに人気…小鹿野の「神怡館」が25年の歴史に幕 県が条例案山西省との友好記念館が廃止へ
http://www.saitama-np.co.jp/news/2017/11/28/06_.html

・知事記者会見テキスト版 平成29年11月27日 - 埼玉県
https://www.pref.saitama.lg.jp/a0001/room-kaiken/kaiken291127.html

日本共産党埼玉県議会議員やぎした礼子ブログ : 環境農林委員会で埼玉県山西省友好記念館条例を廃止する条例で反対討論
http://blog.livedoor.jp/yrblogjcp/archives/1069283277.html

年明けにこの条例の展開があるようなので、解体されずに存続を願ってこれに関わる動向を見守っていきたい。


埼玉県秩父郡小鹿野町両神薄2245


【追記:2018年1月3日(水)】
埼玉県管財課が2016年4月に策定した「県庁舎・公の施設マネジメント方針」の中で、文化スポーツ施設136施設のうち、10施設について施設アセスメントの評価結果によって将来的に廃止や集約化を検討する方針が固めたそうだ。
その10施設は以下の通りである。

施設名
所有市町村
方向性
所沢航空記念公園野外ステージ
所沢市
転用か廃止
大宮公園体育館
さいたま市
廃止
上尾運動公園プール
上尾市
廃止
山西省友好記念館
小鹿野町
廃止か転用
西関東連絡道路建設事務所
皆野町
集約化
消費生活センター熊谷
熊谷市
集約化
熊谷点字図書館
熊谷市
集約化
川口保健所
川口市
集約化
食肉衛生検査センター川口分室
川口市
集約化
東部環境管理事務所
杉戸町
集約化

・「庁舎・公の施設マネジメント方針」を策定しました - 埼玉県
https://www.pref.saitama.lg.jp/a0205/fm/tyosyaoyakeshisetuhoshin.html

・庁舎・公の施設マネジメント方針(PDF:5,949KB)
https://www.pref.saitama.lg.jp/a0205/fm/documents/managementhoshin.pdf

埼玉県財政課が公開する「施設マネジメント方針」に拠ると、埼玉県山西省友好記念館(以下、神怡館)もアセスメント対象に挙げられており、上のPDFファイルpp.59-60にかけて神怡館の評価結果を次のようにまとめられている。

利用状況は直近の来場者数が5850人、必要性・特記事項では「利用者の減少に歯止めがかからない状況」とし、今後の方向性として「施設のあり方について転用を含めて検討」とする。利用状況はa〜d(高〜低)までの4段階評価で最低のd評価、建物性能は4〜1(高〜低)の4段階評価で「利用向上・転用検討」可能ということで、こちらは3と評価をされている。最終評価に係る特記では「山西省との友好県省締結を記念して平成4年に開館したが、入館者は開館時の48000人をピークに減少の一途をた辿っており、施設のあり方について廃止や転用を含めて検討する必要がある」と酷評される。

2016年4月から2017年12月までおよそ1年半もの期間があったにも関わらず「廃止」という結果が可決したことから来館者数の大幅な増加や、今後につながるような実績を残せなかったのであろうと思われる。


【追記:2018年1月15日(月)】
2018年1月9日(火)に埼玉県が運営する「埼玉県山西省友好記念館「神怡舘」の公式ファンページ」に「山西省友好記念館は、平成30年3月31日をもって閉館となります」という見出しで閉館の旨が、また少し遅れて1月12日(金)には神怡舘のFacebookアカウント(@shenyiguan)からも同様に閉館の旨が発信された。


Before


After
なんということでしょう!
1月9日(火)更新によって画像上部に
閉館する旨が追加されたじゃありませんか


この投稿のコメント欄にて「4月1日以降は、埼玉県が活用策を探していくことになります」とコメントされており、閉館後はどのように施設が活用されるかは現段階では未定のようである。


閉館まであと2か月と15日。非常に残念でならないが、それまでに多くの方が訪問することを願いたい。