横山『三国志』文庫本付録コラム 一覧

横山『三国志』の文庫本の巻末に、有識者による多種多様のコラムが付録として掲載されている。何度か通読していたため中華街の関帝廟や長崎の唐寺を取り上げたコラムもある、と認識はしていたが、まさか大興寺についても取り上げられていた。しかも画像付きである。
その多くの内容を忘れてしまっており、読んでいた「つもり」になっていたためもう一度順に読み返そうと思い至った。ただ読み返すだけでは趣がない。どの巻にどのコラムが掲載されているのか目次のようなモノがネット上にもなく、必要な時にすぐにその記事にアクセスすることができないため、せっかくなのでこの機に作成してしまおうと思う。

1巻 桃園の誓い(pp.409-413)

  • 浦充伸「三国志ビジュアル」
    • 桃園結義の古郷「涿州」を行く
    • 三義宮と張飛古井
    • 影視城
    • 桃園飯点

2巻 漢室の風雲(pp.398-405)

3巻 董卓追討軍(pp.420-421)

  • 横山先生の中国取材メモリアル

4巻 呂布曹操(pp.406-413)

  • 雑喉潤「貂蝉おぼえ書き」

5巻 徐州の謀略戦(pp.432-437)

  • 三谷幸喜「ミーハー的な、あまりにミーハー的な」

6巻 南陽の攻防戦

  • なし

7巻 呂布の末路(pp.406-413)

  • 藤水名子「華麗なる呂布の最期」

8巻 曹操の智謀(pp.412-421)

  • 雑喉潤「曹操の古郷を訪ねて」
  • 平井徹「関帝廟を行く(横浜編)」

9巻 関羽の千里行(pp.420-429)

10巻 玄徳と凶馬(pp.412-421)

11巻 孔明出蘆(pp.416-421)

12巻 孔明の大論陣(pp.414-421)

13巻 赤壁の戦い(pp.414-421)

14巻 進攻玄徳軍(pp.408-421)

  • 平井徹(長崎編)「関帝廟を行く(長崎編)」
  • 田畑光永「無類の政治教科書『三国志』」

15巻 周瑜と竜鳳(pp.394-413)

  • 平井徹「関帝廟を行く(沖縄編)」
  • 杉山博昭「タイの中国人と関帝廟
  • 吉岡忍「私の長江紀行」

16巻 馬超の逆襲(pp.410-421)

17巻 落鳳坡の衝撃(pp.400-413)

18巻 成都攻略戦(pp.402-413)

19巻 張飛の智謀(pp.408-413)

20巻 漢中王劉備(pp410-421)

21巻 関羽の深く(pp.398-413)

22巻 蜀呉の死闘(pp.402-413)

23巻 孔明の南蛮行(pp.402-413)

  • 白西紳一郎「無錫・太湖畔の「三国城」を訪ねて」」
  • 大鶴義丹「それぞれの三国志

24巻 孟獲心攻戦(pp.414-421)

  • 沈伯俊「武人の鏡―趙雲

25巻 出師の表(pp.406-413)

26巻 街亭の戦い(pp.410-421)

  • 吉崎和昌「孔明北伐の拠点・漢中巡り」
  • 譚良嘯「三国志雑談」
    • 「六出祁山」の遺跡
    • 木牛・流馬とは
    • 諸葛亮の造った剣門関
    • 諸葛亮「空城の計」の真相

27巻 陳倉の戦い(pp.400-413)

28巻 孔明の帰国(pp.404-413)

  • 後閑英雄「ねぶたに見る『三国志』の英雄たち」
  • 土屋文子「英雄たちの忘れられた足跡」

29巻 祁山の戦い(pp.414-421)

30巻 秋風五丈原(pp.422-427)

1巻から順に目を通すと、今日の三国志研究をされている先生方のお名前がほとんどないのには衝撃を受けた。刊行当時に出版されている『歴史群像』や学研の赤本等ではお名前を拝見するが、棲み分けがされていたのだろうか…
国内の関帝諸像について調べている身なので、これらのコラムの中でも平井先生が書かれた国内の関帝廟に関するモノが特に興味が惹かれる。
北は今では老朽化と参拝客の減少に伴い非公開となった函館「関帝廟」から、南は那覇至聖廟」内関帝像までほぼ網羅的に取り上げられている。
黄檗宗寺院に関しては萬福寺宇治市)と清寿院(大阪市天王寺区)、長崎の三唐寺しか挙げられておらず、やはりこの当時でも達磨寺(群馬県高崎市)や聖恩寺(京都市伏見区)などの像は認知されていなかったと思われる。やはり情報が観光寺でなかったり、像に関する情報が公開されていない寺院ということが要因であろう。
平井先生は様々な情報を織り混ぜて紹介されているため、非常にためになる。今後はこれらを活用したい。