先日、『「三国志」関連講座について』という題で講座のまとめを掲載した。その後、大阪府羽曳野市の「はびきの市民大学」にて講座『三国志演義の世界を読み解く〜英雄たちの栄光と挫折〜(全12回)』の募集に申し込み、支払いを行なった。
すると10/4(金)に領収証と講座に関する資料が送付され、その中に講座のシラバスがあったので、説明文を引用し以下に記載する。
10/20(日) 担当講師:関西大学文学部教授 井上泰山
・第1回:『三国志』ワールドへのパスポート〜講座の全体像〜
講師の自己紹介を行なった後に、本講座全体のおおまかな流れを回ごとにかいつまんで説明します。『三国志演義』の魅力はどこにあるのか、中国人はフィクションとしての歴史小説をどのように考えてきたか、中国の民衆は英雄たちの活躍に何を託したのかといった問題も併せて考えます。11/10(日) 担当講師:関西大学文学部教授 井上泰山
・第2回:歴史から小説へ〜『三国志』と『三国志演義』の成立〜
「七実三虚」という言葉があります。歴史書としての『三国志』を基礎として成立した『三国志演義』は、七割が事実、三割がフィクションである、という意味です。陳寿が書いた歴史書『三國志』は、その後いかなる経緯を経て小説になったのか、現存する資料を紹介しながら、『三国志演義』成立の過程をさぐります。11/17(日) 担当講師:関西大学文学部教授 井上泰山
・第3回:『三国志演義』の名場面(1)呂布の活躍とその意味
後漢の末期には、政権内部の腐敗が主な原因となって、政治が乱れ、その結果、各地に暴動(黄巾の乱)が起こります。政治の混乱に乗じて、軍閥董卓が都に入り込み、呂布を従えて徐々に実権を握っていきます。小説が呂布の性格と行動を詳細に描く理由について考えます。11/24(日) 担当講師:関西大学文学部教授 井上泰山
・第4回:『三国志演義』の名場面(2)劉備の役割と関羽の義
小説『三国志演義』は、劉備・関羽・張飛の三人が衰退した王朝を再興することを誓い合う「桃園結義」の場面から始まります。小説の中では、劉備と関羽は特に強い「義」の絆で結ばれ、あらゆる場面で関羽の「義」が強調されています。「義」をキーワードとして、小説に込められた作者の意図をさぐります。12/ 1(日) 担当講師:関西大学文学部教授 井上泰山
・第5講座:『三国志演義』の名場面(3)曹操は関羽の宿敵か?
黄巾の乱鎮圧のために協力していた曹操と劉備は、やがて互いに添加を取る野望を起こして反目するようになります。関羽は一時的に曹操の捕虜になり、手厚くもてなされて曹操の陣営に入るように勧められますが、関羽はあくまでもこれを拒否します。曹操と関羽の間に繰り広げられる様々なかけひきを具体的に紹介します。12/ 8(日) 担当講師:関西大学文学部教授 井上泰山
・第6講座:舞台で暴れる英雄たち〜張飛は関羽よりも人気者?〜
中国の民衆に親しまれてきたものとして、講談や演劇の中では、逆に張飛の方が活躍の場が多く、小説には出てこない筋書きなどもあります。張飛の活躍を通して、知識人と民衆の興味の所在について考えます。12/15(日) 担当講師:関西大学文学部教授 井上泰山
・第7講座:旅立つ英雄たち(1)〜日本で蘇った『三国志演義』〜
小説『三国志演義』は、江戸時代に長崎を経由して日本に伝わり、多くの和刻本が出版されるとともに、日本的にアレンジした「三国志」も数多く刊行されました。日本人はおれまで『三国志演義』とどう接してきたか、日本における『三国志演義』の受容について考えます。12/22(日) 担当講師:関西大学文学部教授 井上泰山
・第8講座:旅立つ英雄たち(2)〜スペインに渡った『三国志』〜
16世期半ばになると、『三国志演義』は文字化されて小説となり、様々な版本が生まれます。その一部は当時中国でキリスト教の布教活動に従事していた宣教師たちの手でスペインに運ばれ、皇室の図書室に長い間眠ったままでした。スペインに渡った『三国志演義』を発見して500年ぶりに復活させた経緯について、映像を交えながら詳しくお話します。1/12(日) 担当講師:関西大学・同志社大学非常勤講師 後藤裕也
・第9講座:もう一つの『三国志』〜講談『三国志平話』の世界〜
三国志の時代を西暦200年、小説『三国志演義』の成立を1500年とするならば、その間にはおよそ1300年の空白が存在するが、この空白を埋める貴重な資料として、当時の講談の脚本をまとめた『三国志平話』という書物がある。本回では、小説『三国志演義』完成前後のこの資料について、史実や小説とも比較しながら紹介していきたい。1/19(日) 担当講師:関西大学・同志社大学非常勤講師 後藤裕也
・第10講座:『三国志演義』の名場面(4)関雲長単刀にて会に赴く
小説『三国志演義』における名場面は数多く存在するが、本回にて焦点を当てる「単刀会」もその例に漏れないであろう。ここも関羽の忠義と知勇兼備な様を見事に描き、一方で、関羽に相対する魯粛の道化的な役割も際立っている。1/26(日) 担当講師:関西大学・同志社大学非常勤講師 後藤裕也
・第11講座:『三国志演義』は誰のもの?〜出版と受容について〜
明代、中国の江南地方には出版ブームが巻き起こり、様々なエディションの『三国志演義』が相次いで出版される。清代も中頃になると、貸本屋もしだいに増え、そこでもやはり「三国志」ものは人気があった。本回はやや趣を変えて、「三国志」にまつわる出版と受容の側面について紹介する。2/ 2(日) 担当講師:関西大学・同志社大学非常勤講師 後藤裕也
・第12講座:英雄たちの裏の顔?〜語り物世界に生きる英雄たち〜
ふつう「三国志」といえば『三国志演義』を思い浮かべるが、本講座の最終回では、中国の語り物「三国志」の世界をのぞいてみたい。そこではなじみのある英雄たちが、あるいは聞いたこともない人物が、私たちの知る「三国志」とは別の世界で生きているようである。しかしそれこそ、当時よく知られた「本当」の「三国志」だったのかもしれない。
今回のシラバスを通して唯一気になった箇所がある。それは第8講座「旅立つ英雄たち(2)〜スペインに渡った『三国志』〜」の"宣教師たちの手でスペインに運ばれ"という部分である。以前、国立国会図書館にて金文京先生による「東アジアの三国志演義」という講演会が催された。そこでは宣教師ではなく、商人が国王に献上し、その後スペインのエスコリアル王立修道院図書館に収蔵された、とお話された。そのため、同じ『三国志演義』であるということは容易に想像がつく。どの様にして宣教師が持ち帰ったのか、その根拠を伺おうと考える。
この講座はいよいよ明後日(10/18現在)より始まる。素人相手にここまで深い内容を言及されるのかと驚いてします。おそらく噛み砕いて説明されると思うので、非常に理解はしやすいだろう。今後は毎回の講座をレポートで揚げていこうと考える。