馬岱の字は『陜西省扶風縣郷土志』の伯瞻とする説や、『反三国志』の仲華という説が広く知られている。今回は名に岱がつく人物の字にどのような漢字が用いられているのか、正史類などの記述がある人物らの用例を参照し、馬岱の字について考えたい。
(种)岱字公祖。好學養志。舉孝廉、茂才,辟公府,皆不就。公車特徵,病卒。
【『後漢書』張王种陳列傳】
(劉)岱字公山,繇字正禮。兄弟齊名稱。
【『後漢書』循吏列傳】
呂岱字定公,廣陵海陵人也。
【『三国志』呉書 呂岱傳】
張岱字景山,歷臨海、章郡、晉安三王府諮議。
【『通典』職官十三 歷代王侯封爵】
徐岱字處仁,蘇州嘉興人,世農家子。
【『新唐書』卷一百六十一 徐岱傳】
以上六例もの記述があった。(重複している人物の記述は除いた。)
さて、名前が岱の人物は字に「公」を用いる例が多い。馬岱の字は前述したそれら以外にも「馬岱公○」「馬岱○公」であったという可能性もありそうだ。
また名前と字は関連した文字が用いられる。もちろん全員が全員該当していたわけではない。例えば、周泰幼平では「泰」と「平」が類似した意味を持ち、また孫策伯符の「策」と「符」はどちらも草冠である。そのため馬岱の場合であれば「岱」と「山」はどちらも山に関する文字なので、「馬岱○山」とも考えることができよう。