曹洞宗法王山 亀林寺

寛政八年(1796)から10年間もかけて刊行された摂津国の観光案内書である秋里籬嶌,竹原春朝斎 図『摂津名所図会』。全九巻で構成されており、現在の大阪と兵庫の一部の観光名所について取り上げ絵入りで紹介する。
その中で住吉郡を取り上げた一巻に「関帝堂」が紹介されていたので、以下に引用する。

関帝
 安立町亀林寺にあり。当寺は禅宗曹洞法王山と号す。開基は心越和尚、延宝五年の建立なり。本尊毘沙門天は七堂浜より七度に七所より仏体分身して上がる。これを合はせて全体とす。またこの地を築島寺ともいふ。関羽の像は心越和尚大明より将来しける。また什物に関帝君の金印あり。初め水府黄門胸尊信したまふ。水戸祇園寺に安じ、近年ここに遷す。

心越和尚創建の法王山亀林寺境内に、関羽を祀った関帝堂があったようである。しかしながら明治七年(1874)廃寺となり、後に洪水で失なわれてしまったため、今はその痕跡すら確認することができない。