「正圓寺仏像群」の特別公開(2017年7月9日)

先月末より大阪市教育委員会がは、大阪市内に点在する多種多様な文化財について理解を深めることを目的に、「大阪の歴史再発見」と題した特別展が市内各地で始まった。

第1回目は2017年6月30日(金)〜7月5日(水)まで、各寺社の仏画の展示が行われた。今回は大阪市阿倍野区の「天下茶屋の聖天さん」で知られる東寺真言宗海照山 正圓寺さんにて昨日より始まった第2回目の特別公開「正圓寺仏像群」を拝観しに伺った。この会期は7月9日(日)〜11日(火)までである。

大阪市:『大阪の歴史再発見』非公開文化財「正圓寺仏像群」の特別公開 (…>歴史・文化>参加者募集(歴史・文化))
http://www.city.osaka.lg.jp/kyoiku/page/0000400573.html

上のツイートにあるように、正圓寺さんが所蔵する次の仏像20点あまりが公開となった。うち4点(青字)が大阪市指定文化財に認定されている。

【不動堂内陣】

【聖天堂内陣】

【釈迦堂内陣】

【大師堂内陣】

またこの特別公開にはテーマがあり、正圓寺さんでは「神仏習合」が掲げられている。明治政府による神仏分離の影響を受けていないため、境内には鳥居や社があったり、その影響を強くうかがわせる像がたくさん残っており、非常に見応えのある企画であった。

また学芸員さんに拠る「像の頭を持つ歓喜天はインドの神・ガネーシャが仏教に取り込まれて変容した姿をしている」「木造童子男神立像は怒髪天で憤怒相をしており全身を赤色であらわされているため、愛染明王のようであるが、坐像ではなく立像で、加えて腕が6本ではなく2本で弓を引く姿をしている。また波の上を泳ぐ亀に乗っており、厨子の後ろには連なる宝珠が描かれているため、この像は愛染明王+水神+財神など様々な信仰が習合したであろう」といった貴重な解説に耳を傾けながら拝観することができた。

現存していることが大変珍しい像ばかりであり、かつどの像も間近で拝観することができたため、行く価値は十分にあった。また大根の軒丸瓦に巾着の飾り瓦、笑顔の鬼瓦も要チェックである。

個人的に気になったのは、釈迦堂に安置されている十六善神立像の位置である。十六善神は四天王と十二神将を一括りにしたものである。四天王像が左右で対になるように置かれることがほとんどであるが、ここでは以下の図の青い箇所(左に1躯、右に3躯)に置かれていた。照明が非常に弱かったため、細部まで確認することができなかったが、3番目の像の冠が華光のような三山帽を戴いていた。制作時期が江戸時代で、様々な像が習合の影響を受けているため、もしかしたら華光の影響も少なからず受けているのではないかとささやかな妄想を抱いた。

今後の特別公開は以下の通りでる。
東大寺仏像群」の特別公開
 会場:黄檗宗 東大寺住吉区万代6丁目13-9)
 会期:7月30日(日)〜8月1日(火)

「西之坊仏像群」の特別公開
 会場:西之坊(住吉区上住吉2丁目2−20)
 会期:10月1日(日)〜3日(火)

地蔵寺仏像群」の特別公開
 会場:地蔵寺住吉区墨江1丁目6-7)
 会期:10月8日(日)〜10日(火)


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